2010 Fiscal Year Annual Research Report
PCBの甲状腺ホルモン撹乱作用機構の解明に向けた統合的研究:ヒトへの応用
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20510070
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
加藤 善久 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (90161132)
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Keywords | 甲状腺ホルモン撹乱 / サイロキシン / PCB / UDP-glucuronosyltransferase / トランスサイレチン / CB153 / 肝臓 / マウス |
Research Abstract |
PCBによる血中サイロキシン(T_4)濃度の低下は、T_4の肝臓への移行量の増加に起因しているという仮説を証明するため、C57BL/6系マウス及びDBA/2系マウスに、フェノバルビタールタイプのPCB、2,2',4,4',5,5'-hexa-chlorobiphenyl(CB153)を投与し、3日後に血清中甲状腺ホルモン濃度及び肝臓の薬物代謝酵素活性を測定した。また、その時に[<125>^I]T_4を静脈内投与し、胆汁中[<125>^I]T_4のグルクロン酸抱合体の排泄量、血中[<125>^I]T_4とトランスサイレチン(TTR)との結合率、[<125>^I]T_4の組織分布量を測定した。両マウスにCB153を投与したとき、血清中総T_4及び遊離T_4濃度は有意に低下し、benzyloxy-、ethoxy-及びpentoxyresorufinの各O-脱アルキル化酵素活性はいずれも有意に増加した。このとき、血清中甲状腺刺激ホルモン濃度、肝臓のT_4のグルクロン酸抱合酵素(UDP-GT)活性、UGTla及びUGTIa1の発現量は変化しなかった。一方、胆汁中[<125>^I]T_4のグルクロン酸抱合体の排泄量は、C57BL/6系マウスでは有意に増加したが、DBA/2系マウスでは変化しなかった。肝臓の[<125>^I]T_4のKp値(血清-肝臓間分配係数)、肝臓の[<125>^I]T_4の分布量及び肝臓単位重量当たりの[<125>^I]T_4の分布量は、両マウスにCB153の投与により顕著に増加した。一方、CB153を投与したとき、両マウスの肝臓及び甲状腺重量は変化しなかった。また、[<125>^I]T_4とTTRとの結合率は、いずれのマウスにCB153を投与した場合にも変化しなかった。以上、CB153による血清中T_4濃度の低下は、わずかにT_4-UDP-GT活性の増加が関与しているが、主として肝臓への[<125>^I]T_4の蓄積によって起こることが示された。
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Research Products
(13 results)