2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素の表面化学と水質汚染物質の吸着・分解メカニズムの解明
Project/Area Number |
20510072
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
町田 基 Chiba University, 総合安全衛生管理機構, 教授 (30344964)
|
Keywords | 活性炭 / 堆肥 / 吸着 / 表面化学 / 表面窒素 / 重金属イオン / 有機塩素化合物 / 脱塩素 |
Research Abstract |
牛糞堆肥から製造した活性炭への重金属イオンの吸着を調べた結果,鉛イオンは表面酸素官能基やπ電子により選択的に,銅イオンは表面窒素に選択的に吸着することが推定された。市販の活性炭を酸化処理することにより酸素官能基を導入し,その後,アンモニアガスで高温処理すると重金属イオン(主に陽イオン)の吸着に不利な酸性領域でも銅イオンの吸着することが確かめられた。表面分析および吸着実験の結果,特にニトリル・アミン窒素が酸性域での吸着に有効に作用していることが推定された。窒素含有率の高いポリアクリロニトリルを空気酸化した後に,賦活により活性炭素繊維(ACF)を実験室的に調製する方法を確立した。調製したACFは,空気酸化温度を変えることにより,中性付近の液性では,窒素を含有しないACFや活性炭と比べて,優れたカドミウムイオンの吸着性能を示すことを見出した。また,活性炭表面にマグネシウムを導入することによっても水溶液中からのカドミウムの除去が効率的にできることを発見した。炭素を酸化して表面酸素を導入することにより重金属イオンの吸着性能が向上することが確かめられているが,酸化したことによる有機汚染物質(ニトロベンゼン)の吸着を主に速度の観点から調べた結果,酸性官能基により水クラスターが活性炭内に生成し,吸着物質の拡散を阻害することが裏付けられた。また,酸性官能基が存在しないときにはニトロベンゼンの分子面と炭素グラファイト面は平行に吸着するが,酸性官能基の導入により表面が水クラスターで極性を示し,ニトロベンゼンの吸着がグラファイト面と直角になることが推定された。地下水の汚染物質として問題となっている硝酸イオンの活性炭による除去についても酸性官能基が少ないほど,除去性能が高くなることを見出した。さらに,活性炭表面を高温処理することにより常温常圧でクロロフェノールの脱塩化水素反応が進行するが,溶存酸素が必要なこと,二量体と思われる生成物が検出されたことから,2つのクロロフェノールの酸化カップリングにより脱塩化水素が進行すること考えられた。
|
Research Products
(13 results)