2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタン光触媒作用と超臨界水処理の複合化によるバイオマスのガス化技術の開発
Project/Area Number |
20510079
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
米谷 紀嗣 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80295683)
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Keywords | 光触媒 / 水熱ガス化 / バイオマス / グルコース / 酸化チタン / ルテニウム |
Research Abstract |
本研究では水熱ガス化法と酸化チタン光触媒作用を複合化した新規なバイオマスのガス化プロセスの開発を行なっている。平成22年度では、光触媒として新たにルテニウム担時酸化チタンを用い、バイオマスのモデル物質であるグルコースの水熱ガス化を行なった。その結果、以下に示す知見を得た。光析出法によりルテニウムを担持した酸化チタン粉末を合成し、反応操作をフロー式で行なった。0.1wt%の触媒を懸濁させた0.05Mグルコース水溶液を、HPLCポンプとピストン付セパレーターを用いて高温高圧反応器に連続注入し、所定の圧力(30MPa)と温度(400℃)で反応させたところ、気体生成物として水素(収率23%)とメタン(収率0.16%)が検出された。無触媒条件の結果(水素収率16%、メタン収率0.33%)と比較すると、暗反応におけるルテニウム担時酸化チタンの触媒作用は、水素生成を促進し、メタン生成を抑制する効果があることが分かった。次に、反応器内の試料に近紫外光を照射しながらグルコースの水熱ガス化を行なったところ、水素収率、メタン収率ともに僅かに増大した。以上の結果を水熱ガス化の反応機構から考察した。無触媒条件下でグルコースはまずカルボン酸やアルコール類へ分解し、その後、水素やメタンへのガス化が進行する。また、メタンと水から水素と一酸化炭素を生成するメタン改質反応や、その逆反応も進行すると予想される。さらに、酸化チタンの光触媒作用によりカルボン酸からのメタン生成が促進されることが知られている。今回、暗反応においてルテニウム担時酸化チタンの触媒作用によりメタン収率が減少したのは、メタン改質反応が促進されたためだと考えられる。また、光照射による変化がほとんど見られなかったことから、酸化チタンのキャリアー再結合がルテニウム担時により促進され、光触媒活性が低下してしまったものと思われる。
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