2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタン光触媒作用と超臨界水処理の複合化によるバイオマスのガス化技術の開発
Project/Area Number |
20510079
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
米谷 紀嗣 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80295683)
|
Keywords | 光触媒 / 水熱ガス化 / バイオマス / グルコース / セルロース / 酸化チタン / ルテニウム |
Research Abstract |
本研究では水熱ガス化法と酸化チタン光触媒作用を複合化した新規なバイオマスのガス化プロセスの開発を行なっている。平成23年度では、バイオマスのモデル物質として新たに水溶性セルロースを用いて水熱ガス化の実験を行った。 昨年度に開発したルテニウム担時酸化チタンを触媒として用い、セルロースの水熱ガス化を行なった。その結果、以下に示す知見を得た。まず、酸化チタン粉末(参照触媒JRC-TIO-4)と塩化ルテニウムを出発原料に、光析出法で酸化チタン上にルテニウムを担持し、その後、500℃の水素気流中で還元を行って、ルテニウム担持酸化チタン触媒を調整した。ルテニウムの担持量は1.0wt%とした。0.1g/Lの触媒と4.1g/Lのセルロースを懸濁させた水溶液を、HPLCポンプとピストン付セパレーターを用いて高温高圧反応器に連続注入し、所定の圧力(30MPa)と温度(400℃)で反応させた。気体生成物を分析したところ、暗所反応および近紫外光照射下のどちらの条件でも水素とメタンが検出された。ルテニウムを担持していない酸化チタンを触媒として用いた結果と比較すると、暗所反応条件下でも水素の生成量が大きく増大し、セルロースの水熱ガス化に対する熱触媒作用をもつことが明らかとなった。一方で、メタンの生成量にはほとんど変化がなかった。次に、光照射による変化に注目すると、水素よりもメタン生成量が顕著に増大することが分かった。以上の反応機構について検討するため、副生成物であるフルフラル(5-HMF)の生成量と、反応後め溶液のpHを測定した。ルテニウム担持酸化チタン触媒の使用によって5-HMFの生成量は減少し、本触媒が5-HMFの分解を促進していることが示唆された。また、触媒への光照射によって溶液のpHが増大しており、中間体として生成したカルボン酸が、触媒による光コルベ反応によって分解され、メタンの生成量を増大させていることが示唆された。
|