2008 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカルキャビテーション噴流によるバラスト水処理技術の開発
Project/Area Number |
20510084
|
Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
吉村 敏彦 Kure National College of Technology, 機械工学科, 教授 (20353310)
|
Keywords | 海洋保全 / 環境技術 |
Research Abstract |
バラスト水は、荷物を積載していない船を安定させるための重しとして、港で船に積み込まれる海水である。荷物を降ろした際に積み込まれ、荷物を積載する際に排出される。しかしながらこのバラスト水の注入排出によって、多数の海洋生物が移動し、生態系の攪乱や破壊が世界的な問題となっている。従来の様々なバラスト水処理技術は、国際基準を満足しておらず、高い効率を有する技術の開発が急務の課題となっている。本研究のバラスト水処理技術では、エゼクタノズルを備えたウォータージェット技術を適用した。エゼクタノズルの低圧水に薬剤を注入することにより発生する薬剤含有水のキャビテーションは、崩壊圧力による機械的処理と薬剤による化学的処理の相乗効果(メカノケミカル効果)を生み、プランクトンの死滅率が100%になると期待される。 H20年度は、エゼクタノズルの基本構造について検討した。エゼクタノズル出口部の角度(ホーン角度)や高圧ノズル径、副流ノズル径を変化させた各種ノズルを用いて吸い込み特性の実験を行った。ホーン角度が大きいと副流は大気圧流入しないが、ホーン角度40°以下では副流が大気圧流入することが明らかになった。また、キャビテーション噴流を感圧フィルムに衝突させ、高い崩壊圧力が得られるエゼクタ構造を明らかにした。このような基礎試験により、ホーン角度30°、高圧ノズル径φ2mm、副流ノズル径φ2mmをエゼクタノズルの基本形状と定めた。 副流に薬剤(次亜塩素酸ナトリウム)を含有させたメカノケミカルキャビテーション噴流により、従来の機械的処理のみのキャビテーションに比較して、低い濃度の薬剤含有量(20ppm)でも死滅率向上の効果があることを明らかにした。以上のようなメカノケミカルキャビテーション噴流という新しいコンセプトの処理技術により、従来よりも高いバラスト水流量である90l/minで96%の死滅率を達成した。
|