2010 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカルキャビテーション噴流によるバラスト水処理技術の開発
Project/Area Number |
20510084
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
吉村 敏彦 呉工業高等専門学校, 機械工学分野, 教授 (20353310)
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Keywords | 環境保全 / 海洋技術 |
Research Abstract |
バラスト水は、荷物を積載していない船を安定させるための重しとして、港で船に積み込まれる海水である。荷物を降ろした際に積み込まれ、荷物を積載する際に排出される。しかしながらこのバラスト水の注入排出によって、多数の海洋生物が移動し、生態系の撹乱や破壊が世界的な問題となっている。従来の様々なバラスト水処理技術は、国際基準を満足しておらず、高い効率を有する技術の開発が急務の課題となっている。本研究のバラスト水処理技術では、エゼクタノズルを備えたウォータージェット技術を適用した。エゼクタノズルの低圧水に薬剤(次亜塩素酸ナトリウム)を注入することにより発生する薬剤含有水のキャビテーションは、崩壊圧力による機械的処理と薬剤による化学的処理の相乗効果(メカノケミカル効果)を生み、高いプランクトンの死滅率が期待される。 平成22年度は、機械的・化学的(メカノケミカル)作用のメカニズムについて検討した。キャビテーションは電気的陰性を帯びており、またプランクトンには走光性を有しているものがある。正電位を与えた透明電極に光を照射することにより、キャビテーションとプランクトンを接近させて、キャビテーションの崩壊とプランクトンの挙動を可視化した。その結果、プランクトンはキャビテーションに引き寄せられることが明らかになった。メカノケミカルキャビテーションにおける相乗効果は、薬品を含有したキャビテーションの誘引作用に起因することが分かった。ここで、実験に使用したプランクトンは塩水中に生息するアルテミアおよび海水または混合海水域に生息するシオミズツボワムシである。以上のように、バラスト水処理においてメカノケミカルキャビテーションの機械的処理作用と化学的処理作用の相乗効果を検証することができた。
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