2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規生分解性高分子設計を指向した微生物由来高分子分解酵素の発現機構の解明
Project/Area Number |
20510090
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
粕谷 健一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60301751)
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Keywords | PESu / PHB / 生分解 / PHB分解酵素 / PHB分解微生物 / BOD生分解度 |
Research Abstract |
前年度の研究より、試験管中においてポリエチレンサクシネート(PESu)は、ポリヒドロキシブタシ酸(PHB)分解酵素により分解を受け、また環境中において完全無機化されることがわかった。一方、実環境中では、PESuは、調査を行った全ての地点(40地点)でその分解速度が、PHBのそれと比較して低かった。特に海水中ではPESuは、全く分解しなかった。 分解微生物および分解酵素遺伝子のクローニングを行ったところ、環境中のPHBは、PHB分解微生物およびPHB分解酵素により、生分解を受けていることがわかった。一方、環境中のPESuは、構成的にPHB分解酵素を生産するPHB分解微生物およびPHB分解酵素、さらにはクチナーゼ様酵素により分解を受けていることがわかった。 これらの結果を考慮して、PESuにたいして1-50%のPHBを混ぜた、ブレンド体(PESu-PHB)を作成し、生分解性を生物化学的酸素要求量(BOD)生分解度により評価した。PESuは、海水中では、全く生分解しなかったが、1%PHBブレンドしたPESuは、完全に生分解することがわかった。少量のPHBが、トリガー(誘導物質)となりPHB分解酵素が系内に生産され、それによりPESuが生分解受けたと考えられる。 一般に化学合成生分解性高分子は、曝露条件に応じて生分解速度が著しく変わることが知られているが、今回我々が示した方法によれば、環境によらず安定した生分解速度が得られることが示された。
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