2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20510091
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森村 茂 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20230146)
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Keywords | 干潟 / 微生物叢 / 16SrRNA遺伝子 / 機能性遺伝子 / 窒素循環 / 硫黄循環 / クローン解析 / 系統樹解析 |
Research Abstract |
経時的あるいは深さ方向に好気環境と嫌気環境が入り混じる干潟においては、微生物が重要な役割を果たす窒素および硫黄化合物の物質循環、すなわち酸化還元反応がバランスした元素循環、が重要である。例えば、底質の貧酸素化が起こり、硫黄循環が還元方向に傾いて硫化水素濃度が上昇すると、底生生物の死滅を招き、悪循環を起こして環境がさらに悪化する。最初に、16SrRNA遺伝子を標的とした菌叢解析を行った結果、自然環境が保全されている白川(砂質干潟)・緑川(泥質干潟)の両河口干潟ともに好気性細菌の方が嫌気性細菌よりも多く検出されたが、それでもAlphaproteobacteria綱、Gammaproteobacteria綱、Deltaproteobacteria綱、Chloroflexi門、Bacteroidetes門、Actinobacteria門を優占種として、好気性・通性嫌気性・嫌気性細菌が混在する多様な微生物叢を示した。一方で、aprAやnirSなどの窒素および硫黄循環に関与する機能性遺伝子を標的とした解析を行った結果、窒素循環においても硫黄循環においても同属の微生物が多くの割合を占め、16SrRNA遺伝子を標的とした解析結果と異なり、物質循環には非常に限定された微生物種が重要なはたらきを担っていることが推測された。緑川河口干潟と白川河口干潟では、砂質と泥質の違いを反映して門・綱レベルの微生物の割合に違いが見られたが、潮間帯の上部と下部では微生物叢に顕著な違いは認められなかった。
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