2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ集積構造変換で制御される有機固体発光の増幅機構設計
Project/Area Number |
20510094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
務台 俊樹 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 助教 (80313112)
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Keywords | 分子性固体 / 光物性 / 結晶相転移 / 有機固体発光 / ESIPT蛍光 / 発光材料 |
Research Abstract |
分子内水素結合を有する2-(2-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン(HOPIP)は溶液中で弱い励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)蛍光を示すが、我々はHOPIPが強い固体発光(F:0.3-0.4)を示すことを見出し、さらに結晶構造に依存して発光色が大きく異なる(青緑および黄色)ことを確認した。黄色発光は凍結溶液中やポリマー等の固体媒体中でも観測されたことから、HOPIPの固定化に起因するものであることを明らかにした。 二種類の結晶についてX線結晶構造解析をおこなったところ、黄色発光を示す結晶YでHOPIP分子はほぼ平面コンボメーションであったのに対し、青緑発光を示す結晶BGではねじれコンボメーション(二面角=5.8°)を取っていた。各種スペクトル法等の検討とあわせて、このことが固体ESIPT発光特性に反映しているものと推定され、ESIPTがナノ集積構造変換で制御される有機固体発光の増幅機構として有効に機能しうることが示唆された。 結晶Yを135℃1分間加熱したところ、結晶BGへの相転移がXRDにより確認され、同時に発光毛黄色から青緑に変化した。得られた結晶BGを融点以上(150℃)に加熱して急冷したところ、黄色発光を示すアモルファス固体となった。さらにこれを135℃で加熱したところ再度結晶BGへと相転移し、熱によるアモルファス固体〓結晶BGの可逆的変換すなわち黄色〓青緑の固体ESIPT発光の可逆的スイッチングが実現できた。この成果はナノ集積構造変換で制御する有機固体発光材料の開発に向けた新しい重要な知見である。
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Research Products
(12 results)