2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ集積構造変換で制御される有機固体発光の増幅機構設計
Project/Area Number |
20510094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
務台 俊樹 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 助教 (80313112)
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Keywords | 光物性 / ナノ材料 / 超分子化学 / 有機固体発光 / ESIPT蛍光 |
Research Abstract |
2-(2'-ヒドロキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン(1)は、結晶多形に依存して大きく異なる励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)発光を示し、その要因の一つが結晶中における分子のコンホメーションの違いにあることが示唆された。本研究では分子のコンホメーション変化によって大きな電子状態変化が期待できる機構を分子レベルで組み込むことによって、ナノ集積構造の変化をいわば「増幅」して固体発光特性をより幅広く制御できる系を構築することを目的とする。今年度は固相ESIPT発光に焦点を絞り、以下の成果を得た。 1.化合物1について、電子状態への影響を最小限としながらナノ集積構造の変化を誘起させることを目的としてアルキル基を導入したところ、1の分子のコンホメーション変化に対応してほぼ同様の固相ESIPT発光特性変化を発現した。このことから「分子のコンホメーションは、固相ESIPT発光特性を決定づける一つの要因である」という発想に一般性があり、ESIPT機構が増幅機構として有用であることが示唆された。 2.化合物1に電子供与/吸引性基を導入して電子状態を積極的に変化させた誘導体を種々合成し、同様の検討をおこなった。その結果、置換基導入による電子状態変化と子のコンホメーション変化とを組み合わせることで、発光色や波長シフトがより広い範囲で制御可能であることが示され、単分子の電子状態制御と組み合わせた増幅機構設計の重要性と可能性について基本的な知見が得られた。
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