2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能気相イオン移動能法の開発とナノ炭素物質の構造制御
Project/Area Number |
20510095
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
菅井 俊樹 Toho University, 理学部, 准教授 (50262845)
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Keywords | 気相移動度測定 / ナノ炭素 / 2層カーボンナノチューブ / イオントラップ |
Research Abstract |
平成20年度は、第1段階として超高分解能イオン移動能装置を開発しつつある。この装置は、ナノ炭素物質や触媒金属微粒子のイオン源とイオン移動度選別部、およびイオン移動・収束システムと飛行時間型質量分析器で構成されている。今年度は名古屋大学で開発を終えた、イオン源および飛行時間型質量分析器の東邦大学への移設を終え、稼働を確認した。現在移動度選別部の製作も終了し、簡単なイオン移動・収束システムでC60,70の移動度測定を行った。既報とほぼ同様なデータが得られ、装置として動くことを確認した。しかし検出効率が悪く、このまま未知のナノ物質測定を行うことは難しい。この理由は気相移動度選別部から質量分析機への輸送効率が悪いためであり、現在この問題を解決するためのイオン移動収束システムの改良を行っている。イオントラップなど高周波高圧電源を用いた収束・輸送システムの活用により、現在の信号強度を100倍以上改善し、測定システムの飛躍的感度向上を図ることを目標に現在装置開発を行っている。これらの結果は学会発表1の第89回春期年会に発表した。これまでの測定結果を活用して得られた、ナノ炭素構造制御法を用いて生成した2層ナノチューブの特性も現在測定しており、論文三報にまとめた。まず、2層ナノチューブの酸化特性が単層ナノチューブよりも優れていることを、直径依存性と層数依存性を詳細に検討した論文を論文1に、電気特性に関して論文2に、構造と電子状態のSTMによる詳細観察を基盤に、層間相互作用がモアレ状パターンとして現れ、2層ナノチューブの単層ナノチューブには存在しない電子状態の存在とSTMによる多層チューブの構造決定に関して論文3にまとめた。今後は、装置の改良に努めることと同時に、ナノ物質の構造測定の時間変化を測定できるように、システムの発展および金属微粒子、巨大ナノ物質、高温気相移動度測定などか可能になるように周辺機器開発も行う予定である。
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