2009 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的擬ポテンシャルを用いた第一原理分子動力学法の開発と応用
Project/Area Number |
20510102
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小田 竜樹 Kanazawa University, 数物科学系, 准教授 (30272941)
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Keywords | スピン軌道相互作用 / 擬ポテンシャル / 第一原理分子動力学法 / 磁気異方性 / ラシュバ効果 / スピントロニクス |
Research Abstract |
本研究では、スピン軌道相互作用などほとんど全ての相対論効果を含む電子に対する擬ポテンシャルの開発を推進し、これらを既存の第一原理分子動力学法へ組み込む開発研究を行った。スピントロニクス等で重要となる磁気異方性の電界効果や半導体のラシュバ効果といったテーマの計算科学的理論的研究を推進した。 1.白金の表面にある鉄の磁性原子の系について、原子構造と磁気異方性の関係を調べた。ステップ構造(664)面に鉄鎖を載せた系については、原子構造の最適化を行った上で、磁気異方性の研究を推進し、実験結果を再現する結果を得た。 2.鉄白金(001)面系に対して外部電場を印加し、電子構造に現れるスピン軌道相互作用を調べた。大きな電界効果を発現するための条件を検討し、鉄白金系はその条件に合う材料であることが提案された。 3.密度汎関数理論に基づく相対論的擬ポテンシャルを構築する一環として局所密度近似(LDA)と一般化された勾配補正近似(GGA(PW91))について計算を行い、その違いを調査した。 4.シリコン表面にタリウム、鉛、ビスマスの重い元素で構成される1原子層を積層した系について、スピン軌道相互作用をあらわに取り入れた表面電子構造計算を実施した。角度分解光電子分光法の実験結果と比較し、ラシュバ効果の特徴を検討した。この項目は、坂本一之氏(千葉大学自然科学研究科)を研究協力者とし、実験との比較を促進するための計算コード開発を推進した。
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Research Products
(12 results)