2009 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンと金属の一次元ナノ複合構造の触媒フリー形成
Project/Area Number |
20510104
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小海 文夫 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (40345997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小塩 明 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70362358)
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Keywords | カーボン / 金属 / ナノ複合構造 / 触媒フリー / レーザー |
Research Abstract |
昨年度の研究で明らかになったレーザー蒸発法を用いた一次元ナノカーボン複合構造形成について,銅およびケイ素の二つの金属の場合に集中して研究を進めた。透過型電子顕微鏡による生成物の微細構造の観察から構造解析を進め,電子線回折パターン,ラマン散乱分光法などを併用し,グラファイト性や金属の含有状態,特性などの評価を行った。 銅の場合では,1層から数層のカーボンナノチューブが銅ナノワイヤーを内包した構造(平均外径は約20nm)が形成されたが,3層までのものが多かった。ラマンスペクトルから高温で形成されるほど,グラファイト性が向上することが明らかになった。電子線回折パターンの解析から銅ナノワイヤーは面心立方構造を示す多結晶であることがわかった。300本以上の銅ナノワイヤー内包カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡により観察したが,空のナノチューブはまったく存在しない。従来の金属内包カーボンナノチューブとは異なった非常に興味深い結果である。また,熱に対する挙動(ナノサイズ化による融点の低下や内包されているナノワイヤーの動的な挙動)を検討した。600℃程度の低い温度でも,ナノワイヤーに動きがみられ,カーボンナノチューブの外に流失することが明らかになった。銅ナノワイヤー内包カーボンナノチューブの導電性の評価を行ったところ,バルクの銅と同じ程度の値を示した。 ケイ素の場合には,炭化ケイ素ナノワイヤーを内包したカーボンナノチューブ(20から30層のグラファイト層)が形成された(外径は20から60nm)。また,反応条件の違いより,プレートレット状の炭化ケイ素結晶,ケイ素を多く含むアモルファス炭化ケイ素ナノワイヤーなどが形成されることもわかった。カーボンやケイ素の存在密度,雰囲気Arガスとの衝突による冷却速度,温度勾配などが,異なったナノ構造形成に多大な影響を及ぼすと推測された。
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Research Products
(14 results)