2008 Fiscal Year Annual Research Report
キャリア散乱機構と伝導経路制御による高性能熱電材料設計に関する研究
Project/Area Number |
20510106
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤井 光治 Yamaguchi University, 大学情報機構, 准教授 (20314825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 堅剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50234216)
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Keywords | クラスレート半導体 / 熱電材料 / 電子構造 / ゲスト格子構造 |
Research Abstract |
IV族元素をベースとするクラスレート半導体は低熱伝導率に起因し比較的高い熱電性能を持つが、キャリア移動度の向上が課題となっている。本研究ではカゴのサイズに応じて内包原子を適切に選択することにより、電子構造を制御し格子熱抵抗を低減させること無しに移動度の向上を実現することを目的としている。材料設計指針を得るために第一原理に基づく電子構造計算、熱電性能予測および可能性材料に対する合成と性能評価を行っている。今年度の研究成果は以下の通りである。 1.候補材料合成の検討 これまでの電子構造計算から高性能化の可能性が示唆されるBaとSrの2種ゲスト充填型クラスレート半導体について、クラスレートタイプI構造のゲスト2aサイトにSrを選択的に配置した試料合成を行った。作製試料のリートベルト解析からSrが優先的に2aサイトに占有されることが分かった。まだ、選択的に占有させるまでには至っていない。 2.Sr選択占有に対する理論的検討 Srをゲスト2aサイトにどの程度まで優先的に占有が可能かについて理論的に計算を行った。BaとSrの2aサイト占有に対するオンサイトエネルギーの計算からSrが優先的に2aサイトを占有する結果が計算から裏付けされた。更に700Kでアニールすることにより90%以上の優先占有が可能であることが理論から示された。また、Sr混合比を数10%増やすことにより2aサイト選択性が大きく向上することが分かった。 3.熱電性能解析 Ba-Al-Ge系クラスレートについて、理論的にバンド構造計算結果を用いた熱電特性解析を行った。これにより、通常の半導体以上にバンドの非方物性が電気伝導度の温度依存性に寄与しており、正確なバンド構造による熱電性能解析が必要であることが分かった。
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