2009 Fiscal Year Annual Research Report
キャリア散乱機構と伝導経路制御による高性能熱電材料設計に関する研究
Project/Area Number |
20510106
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤井 光治 Yamaguchi University, 大学情報機構, 准教授 (20314825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 堅剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50234216)
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Keywords | クラスレート半導体 / 熱電材料 / 電子構造 / ゲスト格子構造 |
Research Abstract |
IV族元素をベースとしたクラスレート半導体ではガラス並みの低熱伝導度に対し、移動度が他の熱電材料に較べ低く、移動度の向上が課題となっている。そこで、本研究ではクラスレートのナノ構造に着目し、フォノン散乱中心とキャリア伝導経路の分離を行うことで移動度向上の実現を目的としている。このため、電子構造計算による理論的な手法と実際の材料合成による実現との連携により研究を実施する。今年度の研究項目およびそれに対する研究成果は以下の通りである。 1. キャリア伝導機構の解析と熱電性能予測:2種類のアルカリ土類元素を充填したタイプI構造クラスレートにおいて、ゲストイオンに対する電子スクリーニングの効果を計算した。2aサイトの原子を変えることによりバンド端の有効質量の変化を反映しCa<Sr<Baの順でスクリーニング長が長くなることが分かった。しかし、伝導に対する効果については明確な情報が得られなかった。 2. 伝導経路制御の材料設計と探索:Sr_2Ba_6Al_<16>Ge_<30>についてSrの選択充填の可能性を計算した。計算では、Si系の方が選択充填の傾向が強いことが分かった。Sr_2Ba_6Al_<16>Si_<30>の高圧合成による可能性を調べるため、高圧下での2aサイト選択性を計算した。1GPaまでの加圧を仮定したが、Srの2aサイト選択性に大きな変化が無いことが分かった。 3. 候補物質の合成と熱電性能評価:Sr_2Ba_6Al_<16>X_<30>(X=Si, Ge)について、SPS焼結法を用いて合成を行った。作成条件を最適化することにより、2aサイトの充填率が50%を超える試料を得ることができた。このサンプルについて熱電特性測定を行った。今回のサンプルでは移動度はBa_8Ga_<16>Si_<30>と同等となった。
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