2008 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁膜中における導電性ナノ細線の生成・消滅機構に関する研究
Project/Area Number |
20510108
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
弓野 健太郎 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 准教授 (40251467)
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Keywords | メモリ / 酸化物 / RRAM / スイッチング / ナノ細線 |
Research Abstract |
本研究では、絶縁膜を貫通する数ナノメートルの導電性ナノ細線が生成・消滅するスイッチング機構の解明を行い、次世代の不揮発性メモリデバイスとして期待されているRRAM (Resistive RAM)に応用するための基盤技術の開発を行う。現時点でHfO_2等の二元系遷移金属酸化物薄膜の実用化が進んでいない最大の理由はスイッチング機構の不明なことである。これを明らかにすることができれば、スイッチング特性を向上させるための材料設計指針が得られ、RRAMによるDRAM代替が実現性を帯びてくるものと考えている。平成20年度はCu、 Tiの酸化物のスイッチング機構について詳細に調べた。 Cuの酸化物については、試料中で起きている過程の可視化を目的として、平面上の電極間でのスイッチングを調べた。スイッチング後の表面のSEM観察から、電極間を最短で結ぶ領域では結晶粒の様子がかなり変化していることがわかった。このことは、スイッチング時に試料が融けるほどの高温になっている可能性を示している。さらに、EDXによる組成分析からこの部分の酸素量の減少が認められた。これは高温になることで可能となった酸素イオンの移動が、スイッチングに寄与している可能性を示唆している。さらに、酸化物表面に取り付けた二つの電極間(電極(1)、(2))でナノ細線を生成・消滅させたあとで、電極(1)-下部電極、電極(2)-下部電極間の電気抵抗を調べることで、陰極付近のみが、オン、オフを繰り返していることもわかった。 Tiの酸化物については、(1)スイッチング時の雰囲気の酸素濃度を大きくする、あるいは(2)表面に取り付けたPd電極を酸化させることでスイッチングが安定化されることが明らかとなった。これらの結果は、酸素が酸化物のスイッチング機構に重要な役割を果たしていることを示している。
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Research Products
(1 results)