2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面増強ラマン活性ナノ粒子による単一細胞表面タンパク質のイメージング
Project/Area Number |
20510111
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 満 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 健康工学研究センター, 研究チーム長 (70356434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 民武 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究センター, 研究員 (00351742)
安部 博子 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究センター, 研究員 (40363220)
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Keywords | 表面増強ラマン散乱 / 局在表面プラズマ共鳴 / 酵母 / マンノタンパク質 / 細胞周期 |
Research Abstract |
細胞膜表面に一部埋もれている、表面増強ラマン散乱(SERS)活性を与える2量体状の銀ナノ粒子について、SERSおよび局在表面プラズマ共鳴(LSPR)特性を評価した。その結果、従来の研究で詳しく調べられてきたガラス基板上に調製されたSERS活性な2量体銀ナノ粒子と同様に、直線偏光で励起した場合、SERS強度偏光依存性を示した。また、SERSとLSPR散乱光強度の偏光特性に正の相関があることが示された。これらの結果は、細胞膜表面でもガラス基板上に調製されたナノ粒子と同様の2量体構造を呈していることが分光学的に検証された。この結果の意義は、細胞膜上でもガラス基板上と同様の実験が可能となる根拠が与えたことである。 酵母の細胞表面で観測された個々のSERS輝点は2量体銀ナノ粒子に起因することが確かめられた。SERS輝点のスペクトルは、銀に対する官能基(アミノ基、チオール基、水酸基等)のポジティヴな親和性を考慮すると、2量体銀ナノ粒子に吸着したタンパク質分子に起因する可能性が高い。このスペクトルを帰属するために、参照データとして、酵母細胞膜に含まれる精製したタンパク質分子および多糖(マンナン、グルカン、キチン等)のSERSスペクトルと通常のラマンスペクトルを測定し比較した。その結果、得られたスペクトルはマンナンを含むタンパク質である可能性が高いことが明らかとなった。さらに、酵母細胞の分裂にともなうSERS輝点の有無の時間変化を調べたところ、SERS輝点は、細胞周期においてマンノタンパク質の発現が活発になるときにより多く観測されることが明らかになった。この結果の重要性は、SERSによって細胞周期を実時間で簡便に評価する新しい方法となる可能性を示したことである。
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Research Products
(1 results)