2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射光時分割定在波法による強誘電体超薄膜の分極反転速度の直接測定
Project/Area Number |
20510113
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
坂田 修身 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (40215629)
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Keywords | X線定在波法 / 酸化物基板 / 超薄膜 / X線集光ビーム / マイクロビーム / 界面原子配列 |
Research Abstract |
酸化物超薄膜にX線定在波法を適用した。試料は、DyScO_3(110)単結晶基板にSrRuO_3を10nm厚さ(設計値)に成長させた後PbTiO_314nm(設計値)をエピタキシャル成長させたものであった。薄膜の育成にはパルスレーザー法を用いた。光学装置(2009年度構築)によりシリコン(004)チャンネルカット結晶を2個組み合わせて入射X線ビームを高平行にさせ、さらに、複合屈折レンズにより水平方向を集光させた。用いた入射X線エネルギーは7.92keVであった。基板結晶の110、および、220ブラッグ条件の近傍で回折強度曲線(RC)とTi Kα、Sc Kαの収量を記録した。蛍光収量はオフ・ブラッグにおけるそれぞれの収量で規格化した。 110ブラッグ近傍の結果では、回折強度の反射率は47%、RCの半値角度幅は10.9 arcsecを得た。Ti Kαの規格化収量は高角側で1.2のピークが観察された。他方Sc Kαの規格化収量は低角で2.2のピークを持ち高角では0.65の谷を示した。022ブラッグ近傍の結果では、回折強度の反射率は68%、RCの半値角度幅は10 arcsecを得た。Ti Kαの規格化収量は1.5のピークが観察された。他方Sc Kαの規格化収量は低角で0.37の谷を持ち高角では1.64のピークを示した。 110、220の結果とともにTi Kαの蛍光プロファイルがRCの形状とは大きく異なって観測された。動力学的回折路論に基づき次のことが分かった:バッファー層であるSrRuO_3を挟んで基板から離れたPbTiO_3薄膜の結晶性が高品質であること。さらに110、220のTi Kαのプロファイル形状が全く異なることから、バッファー層の実際の厚さ、PbTiO_3薄膜の厚さ、および界面におけるその薄膜の最下の原子層など原子配列の情報を有していることが分かった。解析中である。
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Research Products
(7 results)