2010 Fiscal Year Annual Research Report
局在プラズモン増強励起と蛍光蛋白発現菌体を組み合わせた重金属分析マイクロデバイス
Project/Area Number |
20510117
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
石田 昭人 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20184525)
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Keywords | 局在プラズモン / マイクロ流体デバイス / プラズモン増強蛍光 / 蛍光蛋白発現 / 重金属耐性遺伝子 / 水銀耐性大腸菌 / merR / 花形金銀コロイド |
Research Abstract |
開発途上国では水銀による飲料水汚染が重大な問題となっており、その場で簡便に検査できるマイクロチップセンサの開発が急務となっている。水銀イオンを含む培地で培養された水銀イオン耐性大腸菌は水銀イオンに敏感に応答して水銀制御蛋白MerRを産生する。蛍光蛋白やルシフェラーゼを予め2つのサブユニットに分離して機能を消失させておき、これらをMerRによって再結合させる系を組めば水銀イオンによって蛍光・発光機能が発現するので、プラズモン増強を応用すれば高感度水銀センサになると期待される。そこで本研究では1)水銀イオン応答遺伝子と蛍光蛋白発現遺伝子または生物発光酵素発現遺伝子を組み込んだ大腸菌をプラズモン増強基板上に固定化する、2)遺伝子組換大腸菌から水銀イオン応用性蛋白質を単離し、これをプラズモン増強基板上に固定化する研究を展開した。 今年度は新たなプラズモン増強媒体として、直径数十nmで花形の特異な形態によって可視領域全域に幅広い吸収帯を持ち青色を呈する金・銀合金のコロイドを合成し、これを親水性アミノ化ガラス基板に固定化して蛍光蛋白からの蛍光および生物発光を増強することを試みた。 花形金および銀コロイドについては最近報告が相次いでおり、先鋭部分に強いプラズモン電場が形成されることから新規なプラズモン媒体として期待されている。既報では金イオンからごく限られた条件でのみ合成可能であったのに対し、保護剤にポリビニルピロリドンを用いることと銀イオンを共存させることで再現性よく容易に合成できることを明らかにした。合成されたコロイドはICP分析とEPMAにより金銀合金であり、SEMによって直径80nm程度のバラ型であることが明らかになった。また、金コロイドや銀コロイドとは異なり、650nm付近に極大をもつブロードな紫外可視吸収スペクトルを示し、赤色蛍光蛋白の蛍光を数倍増強できることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)