2009 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁体細管の内壁帯電を利用した集束荷電粒子ビーム生成装置の開発
Project/Area Number |
20510119
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池田 時浩 The Institute of Physical and Chemical Research, 山崎原子物理研究室, 専任研究員 (80301745)
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Keywords | ガラスキャピラリー / 多価イオン / 絶縁体 / ガイド効果 / 生物照射 / 集束イオンビーム / ナノビーム / ナノファブリケーション |
Research Abstract |
「ガラスキャピラリー」と呼ばれる長さ数cm程度のテーパーの付いたガラス細管を用いて荷電粒子ビームを集束させることで、ナノメートルオーダー径の量子ビームが容易に生成できる。本研究は、初期投資額の圧縮、照射のしやすさ、さらにサンプル条件の自由度向上を長所として、量子ビームの応用範囲の拡大を目的としており、次の(1)および(2)の装置の開発を行なっている。 (1)数100V~20kV加速の集束多価イオンビーム表面微細加工装置のための集束特性:生成された集束ビームの強度を上げるため、(A)キャピラリー材質、(B)形状、および(C)電極位置の最適化を行った。特に形状については極細のキャピラリーの曲線的形状の測定法が存在しなかったため、測定法そのものを考案し、キャピラリー作製時のパラメータと形状との相関を得た。これをもとに安定なビーム通過が確認され、国際会議及び誌上にて発表した。その一方で、1mm~100μmオーダーの径をもつマクロなテーパー付ガラス管での実験も開始した。これにより、nA以上の強度を持つビームを絶縁体管で偏向、集束させる道を開いた。この電流レンジではガラスが可逆的交互に絶縁体-導体の振る舞いを示すデータが得られたため、より精密な解析を行っている。 (2)更に高い運動エネルギーのH、Heイオンを生細胞内小器官に照射するための、フタ付キャピラリーによる細胞照射用集束ビーム出射装置:ガラス製のブタをキャピラリー先端に付けることが主流であったが、プラスチックシンチレータ、あるいは、ポリ塩化ビニリデン製のブタを考案し、それぞれ、75μmφ、800μmφのビーム出口径を実現した。これにより液相中への大電流照射が可能になり、照射ポイントからの散乱2次粒子(光子)を高いレートで測定できるようにもなった。また、フタの作製時間は1~2日であったが、本方法では10分程度と大幅に短縮された。
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