2010 Fiscal Year Annual Research Report
社債と株式の統一的価格付けモデルの開発とそのコーポレート・ファイナンスへの応用
Project/Area Number |
20510123
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 輝好 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90360891)
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Keywords | コーポレート・ファイナンス / 金融工学 / 最適資本構成 |
Research Abstract |
本研究の目的は,コーポレート・ファイナンスに関する諸問題を意思決定問題として捉えて,実務に耐えうる定量的な指針を与えることである.その際,最大の焦点は,企業の資本構成の最適化である.企業の発行する負債(社債)を定量的に評価する手法について先行研究の拡張を進めた.社債の価値に最も影響を与える要因は,企業が倒産する可能性であり,そのメカニズムである.本年度は,企業が倒産の危機に瀕すると,債務再交渉と呼ばれる負債契約の見直しが起きることを考慮に入れて,社債を評価する手法を開発した.債務再交渉では,企業の持つ有形資産が担保および交渉の材料として,重要な役割を持つことを定量的に示した.また,有形資産を導入したことで,企業に担保となる資産が十分にあっても起きるような倒産,すなわち流動性の枯渇による倒産をモデル化できた.結局,通常の倒産形態に加えて,債務再交渉および流動性の枯渇による倒産を考慮した負債評価モデルを構築できた.近年に起きた,金融破綻は流動性の枯渇が伝播する形で連鎖的に発生した.本モデルは,このような連鎖的な倒産を分析する上でも貢献できるモデルである.流動性の枯渇が起きた場合に,株価が急激に下がることをどのように表現するかが今後の課題となった.また,2変量問題として記述した本モデルでは,資本構成の最適化に多大な計算負荷を要する。なんらかの近似アプローチあるいは専用の計算アルゴリズムの開発が必要となっており,今後の課題である
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Research Products
(2 results)