2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510126
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧本 直樹 University of Tsukuba, 大学院・ビジネス科学研究科, 教授 (90242263)
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Keywords | 執行戦略 / 極値理論 / 投資戦略 |
Research Abstract |
本年度は,最適投資問題の一形態として最適執行に関する研究を行うとともに,レジームシフトの対象となる金融データの時系列変動の研究を行った. 最適執行に関しては,与えられた多資産の大口注文に対する最適な分割執行を分析し,執行コストと価格変動コストのトレードオフを平均-分散最小化の枠組みで最適化する執行スケジュールを解析的に導出した.このモデルはレジームシフトを明示的に内包するものではないが,大口執行によって発生したマーケットインパクトが基準価格へ戻る平均回帰的な価格変動特性を持っている.導出した解析解に対する比較静学分析から,流動性や価格変動のパラメータが最適執行に与える影響を明らかにした.さらに,低流動性資産の執行スケジュールは他資産の影響を受けにくいことなどを確認した. 金融データの分析では,アクティブ投資における重要な指標であるバリューとモメンタムのファクター構造を分析した.バリューは平均回帰的なレジームシフトの底または頂上付近での投資を目的とし,モメンタムは上昇および下降が継続する状況での投資を目的としている.分析では,業種,規模,スタイルなどさまざまなファクターで構成されるフィルターを適用して,バリューとモメンタムを構成する主要なファクターを同定した.また,同定したバリューとモメンタムの構造をもとに投資戦略のバックテストを行い,パフォーマンスやリスク量の計測を行った.特にリスク計測では,大きな損失の発生確率に影響する裾指数が,フィルターによってどの程度低下するかを極値理論ならびに実証分析から明らかにした.
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Research Products
(3 results)