2008 Fiscal Year Annual Research Report
在庫と不確実性を考慮した船舶スケジューリングモデル構築
Project/Area Number |
20510132
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
久保 幹雄 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 教授 (60225191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和博 東京海洋大学, 海上技術安全研究所物流研究センター, 研究員 (00450677)
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Keywords | スケジューリング / 最適化 / 数理計画 |
Research Abstract |
船舶スケジューリングの標準的アプローチである集合被覆定式化は、2週間〜1ヶ月程度のスケジュールも分単位で得ることができる。ところが実際の船舶輸送では、天候の変化、在庫・生産状況により、荷主からの輸送依頼が数日先までしか確定しない場合がある。このような製品の輸送では不確実性に積極的に対処する必要がある。その典型的な例が鉄鋼製品輸送であり、今年度は鉄鋼製品輸送を想定したモデルを開発した。 不確実性に対処する方法として、1.ローリングホライズン方式による方法と、2.強化学習による方法を採用した。ローリングホライズン方式では、向こうN日の計画を立てるが、実際に実行するのは1日目だけである(2日目以降の計画は実行しない)。次の日にはより新しい情報を用いて次のN日分の計画を立てる。これを繰り返すことにより、最新の情報を取り入れた計画を立てることができる。強化学習では、製品の輸送量・積み地・揚げ地などの統計的な情報を抽出し、ある時点の計画作成に、より長期の情報を取り入れる。これにより、繰り返しスケジュール作成を行う場合の累積コストが小さくなることが期待される。船舶輸送での不確実性の原因は、自然に起因するものと、自然以外に起因するものがある。しかし、ある輸送要求の実行が遅れた原因を、ただ一つの要因に求めることは実際には困難であることが実績データの解析により判明した。そこで、海流・波の変化などの自然要因を個別にモデル化する方法は採らず、全体をシステムとして捉え、強化学習の手法を採用することで不確実性に対処する方針を採用することとした。ローリングホライズン方式については、協力企業から提供を受けた実務データによって検証し、現在1日かけて手作業で行っているものと同程度のスケジュールが、数秒で作成できることがわかった。強化学習については、強化学習理論の基本的な調査を終え、基本モデルを開発した。これを計算機に実装し、引き続いて数値検証を行う予定である。
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