2010 Fiscal Year Annual Research Report
混雑と規模の経済が混在する交通ネットワーク料金体系の最適化
Project/Area Number |
20510133
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
應 江黔 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (30242738)
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Keywords | 交通料金 / 交通均衡モデル / 交通政策 / 最適化 / 交通混雑 / 規模の経済性 |
Research Abstract |
本研究は、交通施設の規模の経済性を発揮させ、交通混雑を抑制し、システム全体の最適運用を実現する最適な料金政策策定のための数理的分析手法を提案することを目的とする。本年度の成果は以下のとおりである。1.鉄道に対する料金設計は、道路のようにリンクごとに異なる料金水準の設定は公平性などの問題から難しい。会社ごとの料金水準設定(補助金によって実現することを想定)が可能になるように、最適化手法を開発した。このような制度的な制約に対応して、最適化計算手法も適用できることを示した。2.中京圏の道路と鉄道を含む交通ネットワークシステムを実証対象とし、現行料金体制、理論的に効率性の最も高い限界費用課金、および最適化計算手法によって設計される最適料金体系の比較分析を行った。道路ネットワークのみを対象とし、道路交通需要を固定とする場合、限界費用課金が中京圏全体に対する混雑の改善効果(走行時間の短縮)はかなり限定的である。それに対して、道路と鉄道の交通需要が代替的である場合は、限界費用課金による道路から鉄道への需要シフトが道路の交通時間を大幅に改善できるが分かった。限界費用課金は道路に過大な課金を強いることがあり、最適化手法では適正な料金水準を設定できることを示した。本研究の結果、眼界費用課金の代わりの手法として、交通計画で実用化された数理的最適化手法を発展させて.柔軟な交通料金体系設計の手法が提示できた。本研究は中京圏のような大規模の交通ネットワーク全体の料金政策分析に用いるための計算手法を開発しているが、部分的な地域の交通課題についても、本研究で開発した手法はより広範囲で政策の影響を分析でき、大局的な視点に立った交通政策を策定できる。本研究は、料金政策による住宅立地などの変化や、鉄道へのアクセスコストの変化などは十分に考慮できていない。これらの要素を考慮できる手法の開発を今後の課題としたい。
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