2009 Fiscal Year Annual Research Report
高頻度価格データを例とした非定常時系列解析手法の検討
Project/Area Number |
20510137
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 美栄子 Tottori University, 工学研究科, 教授 (20257570)
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Keywords | tickwise price / correlaton matrix / random matrix theory / principal comonents / 同時刻相関行列 / 固有直問題の数値解 / NYSE-TAQ / 主成分分析の新たなアルゴリズム |
Research Abstract |
2009年度は,過去に入手したNYSE-TAQの中から数銘柄を選んで価格変動の特徴抽出により予測を行うことから一歩踏み出し,500銘柄前後の同時相関行列の固有値問題の数値解法を用いて,顕著な相関を示す銘柄群とその業種を、ランダム行列理論式との比較により抽出する方法で扱った.方法論は1999年頃にBoston大学のStanley等とフランスのBouchaud等により提案されたが,方法の制約から日毎の終値7年分のデータ1個に対する結果のみで年次変化の追跡ができなかった.tickデータへの適用には膨大なデータベースから時刻の揃った多数の銘柄の価格変動を抜粋する必要から,膨大な労力といくつかの疑問点の解決が必要である.我々は4名の学部生の卒業研究としてこの問題に取り組み,データ処理を分散作業化して問題に取り組むことで年次変化の追跡,主成分分析の新たなアルゴリズムの確立,理論式の適用範囲の考察の3点について新たな知見を得た.年次変化の追跡は,一時間毎にその前後に実取引のある銘柄を調べ上げ,1994~2002年の各年に対して400銘柄以上がこの条件を満たすことを見出したことにより,データを一年毎に区切ることで可能となった.主成分分析の新たなアルゴリズムはまだ完成形ではないが,有意な主成分の数を決める基準として固有値のみでなく固有ベクトルの成分分布を援用する方法をデータ解析の結果から実証的に明らかにしつつある.ランダム行列理論式の適用範囲の明確化については,コンピュータに発生させた疑似乱数数種類を用いて,それらの乱数度の低さをランダム行列理論との比較により非常に敏感に表現できることを解明した.これらの成果をSICE-創発シンポ,京大基研の経済物理,統計数理研の経済物理とその周辺,物理学会年会と秋の分科会, エリーチェのエコノフィジックスコロキウム(イタリア)の研究会で発表した.
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