Research Abstract |
2012年度は,RMT-PCAの応用としての2課題,「注目株抽出」と「乱数度計測器:RMTテスト」を大量の実データに応用しつつ,其々のアルゴリズムを確定し,成果発表を国内外の研究会や学会で行うと共に,新たな応用先となり得る環境問題の情報収集を行った. 「注目株抽出」は,高頻度価格時系列をデータとして「3ヵ月毎の注目株」の抽出を行い,手法の再吟味を行った.変更点として,金融工学で常用される価格時系列の対数収益列への変換過程で従来の2倍のデータ長を用いて重複を避けるか,または重複を許してデータ長全部を使用した場合はRMT限界のλ+ではなくその20%増しを主成分の基準点とすること,「第2固有状態」の固有ベクトル成分の正値・負値其々について「凝集モード」を抽出すれば注目業種の抽出ができること,トレンドの遷移が,従来の東京市場の分類よりも粗い「関連株分類」を用いること,等である. 「RMTテスト」は,手法の有効性を2種の擬似乱数生成器と3種の物理乱数の計5種データを用いて実験し,6次モーメントのRMT理論値との差を測定してRMTテストのアルゴリズムを確定し,乱数度を高いと判定する基準値をNIST検定と比較して両手法の関連を調べ,また,ハッシュ関数の評価や株価予測にも応用した. 成果発表は情報処理学会:数理モデル化と解決(MPS)研究会,日本進化経済学会年会,欧州複雑系会議(ECCS2012),知識工学国際会議(KES2012,およびKES-IDT2012),統計数理研究所・共同研究集会「経済物理学とその周辺」,統計数理研究所・共同研究「社会物理学の展望」,日本物理学会年次大会/分科会における「経済物理」セッション等での講演と,これらの会議録,および情報処理学会論文誌(IPSJ-TOM),Progress of Theoretical Physics 等に掲載された論文により行った.
|