2010 Fiscal Year Annual Research Report
事故・不祥事を未然に防止できる組織-高信頼性組織の条件に関する調査研究-
Project/Area Number |
20510146
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中西 晶 明治大学, 経営学部, 教授 (70347277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
歌代 豊 明治大学, 経営学部, 教授 (80386416)
高木 俊雄 沖縄大学, 法経学部, 准教授 (80409482)
星 和樹 愛知産業大学, 経営学部, 講師 (10409485)
四本 雅人 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (90547796)
八坂 和吏 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (00547797)
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Keywords | 高信頼性組織 / HRO / 組織事故 / 安全文化 / ヒューマンエラー / レジリエンス / 実践 / 不祥事 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは,近年の日本企業において多発している事故や不祥事を高信頼性組織(High Reliability Organization:HRO)の観点から明らかにすることを目的としてスタートした。最終年度である平成22年度は,(1)最新のHRO研究の整理・分析,(2)対象企業へのインタビュー調査およびアンケート調査の分析と成果発表の2点について計画・実施した。 研究計画の成果としては次の通りである。(1)については,海外の最新のHRO研究が特集されたHuman Relations(2009)の掲載論文7本をプロジェクトメンバーで翻訳した。HRO研究萌芽の契機となったノーマルアクシデント理論にまつわる論争や,HRO研究の第一人者であるSutcliffeが新たに展開させた理論等について知見を得ることができ,また,それらについて議論した。(2)については,これまでに行ってきた2つの調査を分析し,まとめることができた。1つめは,情報通信大手企業の協力を得て行った「ストーリーテリングと組織のリアリティ」についての研究で,情報インフラを保守するという高信頼性が求められる組織において,人々の語りであるストーリーテリングによって,それがどのように構築され,また高められていくのかを明らかにした。この研究成果は,2010年6月に行われた経営情報学会春季全国大会にて報告を行った。HRO研究にストーリーテリングの視点を導入した研究はこれまでになく,独創的な研究を行うことができた。そして2つめに,職場状況とオペレーションの信頼性の関連を調査するために行われた(1)看護師等のコメディカル(58質問項目),(2)製造業のサプライチェーン従事者(82質問項目)のアンケート結果をまとめた。両者において,職場状況の様々な要素が実際のオペレーションの信頼性に大きく影響することが明らかにされたが,特に人命を扱うコメディカルにおいては,オペレーションの信頼性が非常に重要視されていることがわかった。この研究成果は,2011年の秋に開催される経営情報学会秋季全国大会にて報告する予定である。
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