2010 Fiscal Year Annual Research Report
メダカの活動電位計測による水質汚染監視に関する研究
Project/Area Number |
20510157
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉富 邦明 九州大学, 日本エジプト科学技術連携センター, 教授 (30150501)
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Keywords | 安全工学 / 水質汚染監視 / メダカ / 水道水 / 排水 / シアン / スミチオン |
Research Abstract |
本研究は「メダカの活動電位信号の電力周波数スペクトルの解析から得られる呼吸活動情報」と「メダカの活動電位信号の波形から得られる魚の向き・行動の変化の情報」を解析し、それらを併用することによって、精度のよい新たな毒物汚染監視システムの構築について研究を行うことが目的である。 昨年度は、小さなケージ内に1匹のメダカを収納して、シアン化カリウムおよび農薬(スミチオン)の暴露による活動電位を観測し、両者の暴露において活動電位の応答には違いがあることが分かった。メダカを小さなケージに収納すると、メダカが泳がないため、呼吸のためのエラ蓋の動きに伴う活動電位が安定して記録できる反面、遊泳に伴う活動電位が記録できないという問題点があることが分かった。汚染水に暴露されたメダカは、呼吸活動と遊泳活動の両方に影響が現れると考えられるため、小さなケージに収めるのではなく、自由に遊泳させて活動を観察する必要がある。そのため、本年は、十分な大きさの水槽内でメダカを遊泳させて活動電位を観察した。メダカが泳ぎまわるため、メダカと電極の距離が変化し活動電位の安定した観察が困難になることを防ぐため、メダカの個体数を15匹にした。その結果、シアン化カリウムの暴露による応答と農薬(スミチオン)の暴露による応答をうまく検出できた。シアン化カリウムではシアン濃度0.1mg/L、スミチオンでは濃度1mg/Lにおいて暴露開始から約1時間で活動電位に毒物暴露の応答が確認できた。メダカの48時間半数致死濃度はシアン濃度0.84mg/L、スミチオンは1mg/L以上であるため、本研究の方法ではこれらよりも希薄な汚染濃度の毒物を1時間という短時間で検出できたことになる。 本研究の成果は第62回全国水道研究発表会に講演申し込みを行い採択された。また、本研究の成果の一部は特許第4652119号(発明の名称:水質連続監視法)として特許登録された。
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Research Products
(2 results)