2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510168
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
大澤 敦 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 電気安全研究グループ, 上席研究員 (20358435)
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Keywords | 除電 / コロナ放電 / イオン / 電気流体力学 / 静電気障災害 / 火災 / 減災 / 品質管理 |
Research Abstract |
除電は静電気障災害の重要な防止対策のひとつであり,帯電が問題となる多くの工程で除電器を用いている。技術革新により,帯電しやすい材料や静電気耐性の低い素子が生産されるようになり,静電気障災害も様相を変えながら増大する傾向にある。短時間に精密に除電する高性能な除電器の開発が急務となっている。除電技術の進展には,いかに効率よくイオンを帯電物体に輸送するかがキーとなり,除電器によって帯電されないように正・負イオンのバランスも考慮されなければならない。本研究では,シミュレーションによって正・負イオン挙動を明らかにして,問題の原因追求と効率よく精密に除電するための情報を提供することを目的としている。 当該年度は,標準試験法モデルおよび移動帯電物体除電モデル(移動する帯電物体を擬似的にモデル化)を用いてシミュレーションを実施した。モデルは,気流,正・負イオン流,電界を連成計算し,正・負イオン挙動が可視化できるので,除電現象およびトラブルの原因を詳細に解明できる。 帯電電位極性,除電器の正・負イオン密度バランス,気流速度の影響を正負直流・交流・パルスDCコロナ除電器について調査した。高気流速度では除電時間を短くできるが,正・負イオン密度が時空間的にバランスしていないとき,定常除電電位(オフセット電圧)をさらに高くし,交流,パルスDCでは,時間的に変動するオフセット電圧を高くしてしまうことが明らかにされた。交流およびパルスDCでは除電器周辺に,正・負イオンの空間電荷より除電器に戻る方向の電界が形成され,正・負イオンの移動度の違いからオフセット電圧が生ずる。これらの問題は,実際の不具合の現象とよく一致しているので解決策の提案となる。除電の高性能化には,時空間的に正・負イオンが準中性化されることが重要であることが示された。さらに,交流除電器のオフセット電圧を効果的に減少させる方法を提案している。
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Research Products
(2 results)