2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 誠也 The University of Tokyo, 地震研究所, 名誉教授 (60011459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70242154)
鴨川 仁 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (00329111)
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Keywords | 地震 / 先行現象 / 地球電磁気 / 破壊 / すべり |
Research Abstract |
平成21年度には、電磁信号と地震活動との基本的関連性を詳細に検討した。特に近年大きな注目をあつめてきたNatural Timeなる時間概念について、その提唱者であるVarotsos教授グループとの共同研究を進めた。地震現象は統計物理学における臨界現象の一種であるとする立場からすると、地震予知とは、地震発生システムが臨界状態に至ったことを検知することに他ならない。しかし、それは一般には極めて困難とされている。臨界現象そのもの、すなわち地震が実際に起きるまでにはそれがまさに起きることを示す明らかな指標が見えないという、いわゆる前兆現象検知の困難性である。しかし、現代の統計物理学では、臨界状態接近にともなって、事象の相関距離がべき級数的に増大することが指摘されている。このことは大地震の直前、すなわち電気信号発生後の小地震時系列を、Natural Timeによって解析するとその時点が精度よく推定されるということによって示された。しかし、なぜ、Natural Timeによって初めてそれが可能になるのかについては、必ずしも明らかではない。我々はこれらの点について、基礎理論の深化につとめ、数多くの数値実験、実例検証を行いつつあるが、未だに論文執筆中の段階である。一方、具体的事例研究としては,1990年代に行われた長野県における3地点で同時に観測された先行的電気シグナルの独立要素解析、および伊豆神津島で多数回観測された先行電磁現象が地下の電磁的構造の極度の非一様性を示すことの検証などをおこなった。特に神津島での野外実験は、興味深い結果をしめし、次年度にも続行が予定されている。
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Research Products
(8 results)