2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510172
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 Kobe University, 大学院・理学研究科, 教授 (60019495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 秀巳 東京大学, 大学院・理学系研究科附属地殻化学研究施設, 機関研究員 (70456854)
|
Keywords | 噴火様式 / 溶岩ドーム噴火 / 粘性係数 / 降伏応力 / マグマ混合 / 結晶組織 / Einstein-Roscoe式 / 富士火山 |
Research Abstract |
今年度は主に火山噴火様式の予測の基礎となる粘性実験,アナログ実験によるマグマ混合の評価について検討した.マグマの上昇・脱ガス過程ではマグマの粘性が重要である.これまでメルトのみの粘性係数については多数の検討が行われ,一般式の精度も高くなっているが,結晶を含む場合,Einstein-Roscoe-Marsh式の正当性については検討が殆ど行われていない.我々は今年度は,富士玄武岩,ハワイ玄武岩,海嶺玄武岩についてサブリキダスで結晶を含む場合の粘性係数測定を行った.ハワイソレアイト溶岩では斜長石と普通輝石が同量含まれるが,粘性係数はE-R-M式にほぼ一致した.一方,富士玄武岩,海嶺玄武岩では相対粘性係数はE-R-M式よりも2-3倍大きな値になった.富士玄武岩では晶出したのは大半が薄板状斜長石であるためだと考えられたが,海嶺玄武岩ではかんらん石,普通輝石が半分程度を占めるにもかかわらず,高い相対粘度が得られた.この原因は現時点では不明であるが、島弧や海嶺玄武岩ではE-R-M式よりも高い相対粘度になることはそれらの火山岩の噴火様式を検討する上で重要であると考えられる.またこの研究の過程で,石橋は非ニュートン流体でべき乗則が適用できる場合の回転粘度計での歪速度と粘性係数の関係について解析し,一般式を得論文公表した. 噴火様式については富士火山,雲仙岳,樽前山ドームについて比較岩石学的な検討を続けているが、樽前ドームについては比較的噴出率の大きい条件でドームが生じたと考えられた.また,島弧の多くの火山ではマグマ混合が生じており,噴火のトリガーとしても重要であると考えられるが,アナログ物質を用いてマグマポケットの存在がマグマ混合を促進することを明らかにした.
|
Research Products
(11 results)