Research Abstract |
富士火山噴出物について,より多くの例の検討を行うために,新たに8つの噴火について噴火様式,全岩化学組成,結晶量,斜長石組成,等の分析を行い,噴火様式と結晶組織・組成の相関を検討した.全体の傾向として,爆発的噴火の噴出物の方が斑晶量が乏しいが,例外もある.斑晶量に乏しくて,非爆発的噴火の場合は,噴出量が小さいのでWoods&Koyaguchi(1994)の指摘するように噴出率が噴火様式や結晶組織を制約していることが考えられる.また,斜長石のCa/(Ca+Na)比は共存メルトのH20量に大きく依存るるので,それを用いてマグマの貫入・脱ガス・結晶作用時の含水量を見積もると,微晶が晶出する直前の含水量が多い場合には爆発的噴火になる傾向が認められた.例外の一つである大室山噴火は規模が大きく,無斑晶質であるが,微晶のサイズに幅があり,斑晶にまで成長せず,比較的短時間で爆発的~非爆発噴火が生じたことが考えられる 結晶を含む系の粘性係数測定は,伊豆大島島弧ソレアイトとブルカノ島のショショナイトについて実験を行った.伊豆大島ソレアイトの場合は,富士噴出物と同じように斜長石がリキダス相であり,その薄い自形形状が影響して,Einstein-Roscoe式(Harshの定数をいれたもの)よりも3-12倍怖い話をした.ショショナイトについては長柱状の単斜輝石がリキダス相であり,やはり,E-R-M式から4-8倍大きな見積が得られた.この他,富士猿橋・三島溶岩中にあった集斑状斜長石の記載をおこない,成因について検討した.これらの結果は投稿したものだが,一部はデータ不足で再現できない場合があり,年度をまたいで検討を続けている
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