2009 Fiscal Year Annual Research Report

宇宙からの津波監視は可能か?―人工衛星観測による津波検出とその検知力評価

Research Project

Project/Area Number	20510173
Research Institution	Japan, Meteorological Research Institute
Principal Investigator	林豊 Japan, Meteorological Research Institute, 地震火山研究部第一研究室, 主任研究官 (40370332)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	平田賢治気象庁気象研究所, 地震火山研究部第一研究室, 主任研究官 (20359128) 蒲地政文気象庁気象研究所, 海洋研究部第二研究室, 室長 (00354548)
Keywords	津波 / リモートセンシング / 巨大地震 / 海面高度計
Research Abstract	本年度は、衛星海面高度観測データからの外洋津波の抽出を試みることに重点をおき、以下に列挙するとおり実施した。これらは、その成果を、衛星海面高度計の津波検知力の評価と災害情報等への利用可能性の検討に活用する意図をもって実施した。・1992年以降の世界の地震・津波カタログから、外洋の津波の規模が大きかったと推定できる津波イベントを平成20年度に抽出したが、このうち3つの地震津波イベントを対象に、海面高度計観測データに未発見の外洋津波観測記録が含まれているか否かを確認する作業に着手した。・太平洋全域に津波をもたらした2010年2月にチリ中部沿岸の巨大地震の発生を受けて、当初の計画外の緊急の解析を行った。津波数時間後と直前サイクルにおける海面高度観測値を比較し、津波走時・波高の数値計算の概算結果と照合したところ、海面高度計を搭載した人工衛星Jason-2が津波を検知した可能性があると判明した。この事例も海面高度観測データから津波成分を抽出する対象として追加すべきだと判断した。・衛星海面高度計観測データから津波成分を抽出する手法の改良を目指して、即時的な津波検知への発展性が期待できる手法の可能性について、検討した。・文献等を通じて、引き続き、衛星海面高度計の観測・データ処理・応用に関する技術情報および将来計画の動向の情報を収集した。・海面高度計の災害情報等への利用可能性の参考とするため、海面高度計以外の宇宙測位技術による津波観測手法であるリアルタイムキネマティックGPS技術を活用したブイ式波浪計について、観測値に含まれる津波の情報をリアルタイム津波予測へ利活用する可能性を評価した。・2004年インド洋大津波前後のインド洋の平均海面高度分布を比較するため、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が解析した2001～2008年の7日毎の海面高度偏差分布図データを収集した。