2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510174
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松本 健作 Gunma University, 大学院・工学研究科, 助教 (90302455)
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Keywords | 河川堤防 / 安全性診断 / 時系列解析 / Wavelet / 浸透 / 1m深地温探査 / 自然電位法 / 出水 |
Research Abstract |
出水時における河川堤防の安全性診断システム構築のため,振動と浸透の両面から,それらが河川堤防に与える影響評価システム構築に関する基礎的取り組みを行った.前年度に引き続き,時系列解析を行って出水時における河川構造物の振動特性ついて検討を行った.計測結果の考察によって診断モデルの精度検証と基礎データの蓄積を行うことができた.また,堤体の破壊を想定した防災科学技術研究所における大型斜面崩壊実験においては,平成20年度に構築した時系列解析のみでなく,Wavelet解析を用いた状態推定法の開発も試み,土の振動の伝播特性について,散水によって土中水分が変化することに伴う伝播特性の変化を,落錐パルスの伝播信号にWavelet解析を施すことで明瞭に把握することができることを明らかにした.同時に,崩壊斜面内部での地下水の挙動が,従来一般的に考えられているような下から順に層状に帯水していくのではなく,3次元的に局所的に,選択的に存在しながら,変化を繰り返し,最終的に一ケ所に集中することで崩壊の引き金どなっていることを示すことができた.これらの成果は,今後の地下水研究,特に斜面崩壊場における崩壊の早期予測システムの構築や内部メカニズム解明に大いに資する成果であるといえる.堤体診断を行ううえでの,いま一つの要素である浸透水の挙動についてもモニタリング手法の検討を行い,1m深地温探査および自然電位法といった物理探査が,堤体内水分の挙動把握を行ううえで極めて有効手法であることが実測の結果明らかになった.これらの手法は,出水時における堤体内水の挙動のみならず,樋管周辺部の空洞化による堤体の弱体化や堤体基盤の漏水部検知においても有効な手法であることが明らかとなり,振動解析と併用して用いることで高精度な安全性診断を行うことができる可能性を示すことができた.
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