2009 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸砕波帯における海塩粒子の生成と近距離輸送モデルの研究
Project/Area Number |
20510177
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野中 善政 University of Miyazaki, 教育文化学部, 教授 (30094080)
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Keywords | 海塩濃度 / 摩擦速度 / 海塩輸送モデル / 乱流速度 / LAWEPS / 海塩フラックス / SWAN / エネルギー散逸率 |
Research Abstract |
海塩濃度の観測については,OPC(2台)を用いて地表1m-5m高における濃度を測定し,高度差による濃度サイズ分布の差異を検証し結果,波浪状態により海塩量に大きな差があるにも関わらず,相対濃度差[=(N1-N5)/N1, N1・N5;濃度(1m高度)・濃度(5m高度)]はほぼ一定で差異が生じないこと,粒径(半径)2μm・5μmにおける相対濃度差は,摩擦速度u*~2cm/sとして,濃度比理論式[N(z)/N(z_o)=(z/z_o)^(-wf/κu*),w_f;ストークス終端速度,z/z_o;高度比]に基づく推定値と一致することを確かめた.海塩輸送モデルの研究では濃度計算値と静穏時観測データ(国東半島重藤・内田海岸)の比較により数値モデルの改良を試みた.(1) 海塩フラックス量と海塩濃度の関係(境界条件)を精確に定めるために乱流モデル(LAWEPS)に基づく乱流速度と摩擦速度の関数関係を再定義し,(2) 海塩フラックス量についてはMonahanら(1986)の経験式を基本として波浪の発達に関わる吹送距離等を新たな変数として考慮する.試みとして(1),(2)に関する2つの比例係数を導入し,計算値・観測値を比較した結果,乱流モデルによる乱流速度およびMonahanら(1986)の式に基づく海塩フラックス量は共に過大評価であり,比例係数の調整により計算値・観測値がほぼ一致することが分かった.SWANによる海塩フラックス量の推定において次のことが判明した.(1) 波浪エネルギー散逸率から推定した海塩発生量は海上風速が2倍になると約10倍になる.この結果は,2^<3.41>≒10により,海塩フラックス量についての経験則(海塩フラックス量は風速の3.41乗に比例する)と一致する.(2) 潜提がない状態での自然の砕波帯と潜提の位置が一致するときに海塩生成が増幅される可能性がある.
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Research Products
(2 results)