2009 Fiscal Year Annual Research Report
FRETプローブによるヒストン修飾の時間空間的分析
Project/Area Number |
20510183
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 裕二郎 Tokyo Medical and Dental University, 疾患生命科学研究部, 准教授 (00311613)
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Keywords | クロマチン構造 / ヒストンメチル基転移酵素 / FRET / 酵素活性 / リジルエンドペプチダーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛍光色素でラベルしたペプチド基質を用い、新たなヒストン修飾酵素活性定量法を開発することである。本年度はこれまでの成果を踏まえ、まず蛍光プレートリーダーのフィルターセットにより最適化された蛍光及び消光色素の組み合わせを検討するために、新たK4またはK36を含むヒストンH3基質ペプチドを合成した。その結果、長波長で励起・発光するFRETペアを用いて、これまでより感度が高く、かつ細胞染色に応用した場合バックグラウンド発光の少ないヒストン修飾酵素活性の定量が可能となった。一方、修飾リジンの分子センサーとなるリジルエンドペプチダーゼについても、リコンビナント酵素の精製効率を高めるため新たにタグ付き発現ベクターを構築し、さらにホスト細胞をスクリーニングすることによって可溶性分画への抽出を大幅に効率化することに成功した。また、モノメチル化リジン及びジメチル化リジンを定量するために、野生型のリジルエンドペプチダーゼの基質結合部位(S1ポケット)に点変異を導入した酵素をデザイン・作成し、モノメチル化またはジメチル化リジンを含む基質を用いてその酵素活性を検討した。本年度のもう一つの目標は、FRETペプチドを用いて細胞内ヒストン修飾活性を可視化することであるが、βガラクトシターゼ染色法に準拠する組織固定法により、K36ジメチル化ペプチドを用いて核特異的染色を得ることに成功した。まだ予備実験の段階ではあるが、これまでに細胞内でヒストン修飾活性を示した報告は無く、まったく新しいクロマチン構造解析法として今後の応用が期待される。
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