2008 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ無細胞転写解析法による光依存転写機構の解析
Project/Area Number |
20510188
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
湯川 泰 Nagoya City University, 大学院・システム自然科学研究科, 准教授 (70381902)
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Keywords | シロイヌナズナ / 転写 / 無細胞系 / 光依存制御 / MM2d株 / 培養細胞 / 液胞除去 / 光合成 |
Research Abstract |
真核生物の遺伝子の発現制御は主に転写レベルで行われている。現在、植物における遺伝子転写制御に関する分子生物学的知見は、in vitroで転写を解析できる手法の欠如ゆえ極めて乏しい。本研究では、顕花植物でポストゲノム情報および遺伝学的資産の整った、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の無細胞転写系開発を目的としている。 シロイヌナズナは植物体が小さいという弱点を克服するため、本研究では材料として増殖の速い培養細胞(MM2d細胞)を用いることにした。まず始めに、MM2d細胞の培養条件を検討した結果、培地組成はタバコ培養細胞BY-2株に用いていた組成が成長速度および細胞の状態において良好であった。培養時間は4日間で200gの細胞を調製し、その後の実験に用いることにした。MM2d細胞は懸濁培養液中で小さな塊を作るため、プロトプラスト調製に必要な時間を延ばすことで効率化を図った。続いて、プロトプラストからの核を単離する際に必要な条件を検討した。細胞破砕法として、ナイロンメッシュおよびダウンスホモジナイザーを試したが、前者の結果が良好であった。単離した核から可溶性画分を抽出して、シロイヌナズナのU2snRNA遺伝子を用いて、Pol II依存の転写活性を検出することにより転写活性を検定した。検出法は、in vitroで合成されたU2snRNAに対する蛍光標識プライマーを作成し、逆転写により放射性同位元素を用いずに行った。当初は、実際に活性を検出するに至なかったが、プロトプラストからさらに液胞を除去することによって弱いながら転写活性を検出した。これらの結果は大きな前進であり、今後をさらに詳細に条件を検討することによって、比較的容易に活性向上を図れることを意味する。したがって、引き続き活性向上に努め、最終目標である光依存的な転写制御の解析を実現する。
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