2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射性ATPおよびLC-Maldi-MS/MSを用いた簡便なキナーゼ基質の同定
Project/Area Number |
20510191
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
入江 厚 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 講師 (30250343)
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Keywords | プロテオミクス / PKD / リン酸化タンパク質 / キナーゼ / 放射性同位元素標識 / 二次元電気泳動 / 質量分析 |
Research Abstract |
放射性同位元素(RI)で標識した生体試料を二次元電気泳動ゲル上で展開分離して、放射能を持つタンパク質スポットを切り出し、当該タンパク質を高感度質量分析で解析することにより、簡便に目的のタンパク質を同定する方法の確立を試みた。放射性リン酸を含むATPを用いて、ヒトT細胞株Jurkatの核抽出物から、プロテインキナーゼD2(PKD2)が特異的にリン酸化するタンパク質の同定を行った。その結果、SET protein、nucleophosmin、hnRNPなどが同キナーゼによりリン酸化されることが明らかとなった。これらのうちSET proteinについては、いくつかのセリン残基をアラニンに置換することによりPKD2が特異的にリン酸化するセリン残基を見出した。PKD2と放射性ATPを作用させて、放射能を取り込ませたSET proteinのトリプシン分解物から放射能を持つペプチド断片をHPLCにより分取して、これを質量分析計で同定し、そのセリン残基が同定できるか現在検討中である。新たに生じた問題として、下限数量以下とはいえ、放射性物質が質量分析計に導入された後、排気ポンプを経て確実に屋外の大気中に放出されるように留意する必要があり、本法の使用には当初想定していた以上の安全面での配慮を心がけなければならないことが指摘されている。こうした点を改善して、今後、放射性ヨウ素による細胞表面タンパク質標識法を利用した、種々の細胞表面レセプターなどの質量分析による同定にも本法を応用して行く予定である。
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Research Products
(10 results)