2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510202
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古田 巧 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (30336656)
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Keywords | リン脂質 / 蛍光プローブ / 生体膜 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
蛍光性リン脂質プローブ分子の合成検討を行い、極めて高い量子収率を持ち、かつリン脂質骨格に簡便に導入可能な新規蛍光物質の開発に成功した。 強い蛍光性と化学修飾の足掛かりとなる適切な官能基を併せ持つ蛍光色素は意外に少ない。そこで、高い蛍光量子収率を持ち、かつリン脂質骨格への導入に利用できる官能基を持つ蛍光色素の開発を行った。これまでに、2-ブロモナフトアミド誘導体を基質とするPd触媒ドミノ型反応を開発し、[5]ヘリセン誘導体を一段階で得る新規反応を開発している。この[5]ヘリセン誘導体は量子収率20%程度の蛍光性を持つ蛍光性分子である。この光学的特性に着目し、[5]ヘリセン誘導体のさらなる変換により、より優れた蛍光分子の創製を検討した。その結果、[5]ヘリセン誘導体をTfOHで処理すると、予想外の環化反応が進行し、新規なペリレン誘導体が得られることを明らかにした。このペリレン誘導体は、460nm付近に蛍光を持ち、蛍光量子収率90%以上の高い値を示す優れた蛍光分子であることがわかった。さらに、Pd触媒ドミノ型反応、ペリレンへの環化反応の両反応とも、官能基存在下効率よく進行する特徴を持つ。これにより、カルボキシル基を持つ誘導体が簡便に得られ,化学修飾可能な蛍光色素の合成を達成した。さらにこの反応を応用し、飽和脂肪酸の末端に蛍光色素を導入することができた。今後、この蛍光性脂肪酸をビルディングブロックとして用い、tail groupを蛍光標識したリン脂質誘導体の合成に展開し、生体膜-膜蛋白質相互作用の研究に応用する予定である。
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Research Products
(18 results)