2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規生物活性物質の創成を指向した環境低負荷型合成法の開発
Project/Area Number |
20510203
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 繁 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20137988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 昌次郎 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (20266349)
|
Keywords | 有機電気化学 / 超原子価ヨウ素 / カルバゾールの合成 / グリコゾリン / ビシュラー・ナピエンスキー反応 / ホウ素含有ダイヤモンド電極 / ネオリグナン / フェノール酸化 |
Research Abstract |
平成22年度は、以下の成果が得られた。 報告者らが開発した電極反応により発生させた超原子価ヨウ素酸化試剤の活用範囲の拡大を意図してカルバゾール類の合成について検討を加えた。特に、市販のPIFAとの反応収率を比較した結果、カルバゾール環構築においては、報告者らの酸化剤が優れていることが判明した。また、天然物合成への応用としてグリコゾリンの合成を行った結果、既知物質より鈴木一宮浦カップリング反応を経て5行程50%で目的を達成することが出来た。この研究から、報告者らのトリフルオロエトキシ基を配位子として有する超原子価ヨウ素試薬は比較的穏和な酸化試剤としての有用性が認められた。抗マラリアおよび抗腫瘍性を有する植物由来のビスベンジルイソキノリンアルカロイド、メチルタリブリンの合成に関して、すでにその平面構造の構築に成功している。本年度は、相当するフェノール基質の二量化反応の収率改善、およびビシュラー・ナピエンスキー反応により生成する環状イミンの立体選択的還元反応から光学活性体の合成について検討した。すなわち、塩素化フェノール誘導体を用いることで、目的とするジアリールエーテル誘導体の収率を改善することが出来た。さらに、基質に光学活性1-フェニルエチルを導入することで不斉を発現させることを試みた。この結果、還元の選択性を見出すことが出来たため、より効果的な光学活性体の合成を検討している。ホウ素含有ダイヤモンド電極は、主として水溶液中で多様な用途に活用されている。一方では、メタノール中、同電極を用いるとメトキシラジカルの発生が知られている。本研究では、このラジカルの発生を検証し、さらにこの反応をC6-C3化合物の酸化反応に活用してネオリグナン類の合成を行った。結果、通常の直接陽極酸化に比較し、高収率で酸化成績体が得られるとともに、ラジカル反応を経て生成する化合物を得ることが出来た。
|
Research Products
(28 results)