2009 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造と生物活性の解明を目指した海洋産環状ペプチドの化学合成
Project/Area Number |
20510204
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末永 聖武 Keio University, 理工学部, 准教授 (60273215)
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Keywords | パラオアミド / 環状デプシペプチド / 立体構造 / ディスコキオライドB / Lyngbya sp. / ビセブロモアミド |
Research Abstract |
シアノバクテリア由来のパラオアミドについては、可能な4種類のジアステレオマーをすべて合成した。ペプチドは常法に従い構成アミノ酸を順次縮合し、脂肪酸部はクロチルボレーション反応、エバンスアルドール反応、向山アルドール反応を鍵反応として用いて合成した。ペプチド部と脂肪酸部を縮合した後、閉環反応を行った。その結果、2003年に提唱されていた立体構造が正しいことが分かった。2005年に中国の研究者により提唱構造を合成したが、データがあわないという報告があったが、その合成に何らかのエラーがあったと考えられる。 ディスコキオライドBについては、酸加水分解を行って、得られた構成アミノ酸に関してキラルHPLC分析を行ったところ、2種の構成アミノ酸の立体化学を決定することが出来た。しかしながら、酸加水分解中に一部の構成アミノ酸がラセミ化(エピ化)していることが分かった。現在、メタノリシスや部分加水分解により大環状構造を開いた後に、酸加水分解を行っている。 沖縄県で採集したシアノバクテリアLyngbya sp.より、腫瘍細胞に対して顕著な細胞毒性を示すビセブロモアミドを単離した。機器分析と分解反応を組み合わせて、その絶対立体構造を決定した。ビセブロモアミドは、強いプロテインキナーゼ阻害を示し、特にERKのリン酸化を選択的かつ強力に阻害する。
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