2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20510208
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
野田 直規 摂南大学, 薬学部, 教授 (40180749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 尊史 摂南大学, 薬学部, 講師 (10340861)
小鯛 哲也 摂南大学, 薬学部, 助教 (70548891)
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Keywords | ミツバチカスト制 / 制御物質 / semiochemicals / ローヤルゼリー / ヒドロキシ脂肪酸 / Johnstonの仮説 |
Research Abstract |
本研究は、天然物化学の立場よりミツバチカスト制を維侍する制御物質(semiochemicals)そのものあるいはそれら前駆体の発見を目的とする。 1. 初年度(20)はローヤルゼリー中の脂肪酸、特にヒドロキシ脂肪酸を精査し、これまでに4,9-, 4, 10-dihydroxy-2-decenoicおよび3, 9-, 3, 10-dihydroxydecanoic acidなど8種の化合物を単離し、それら絶対配置を含む全構造を決定した。その結果、上記ヒドロキシ脂肪酸の3位水酸基はすべてR配置をもつが、他の二級水酸基はいずれもエナンチオ混合物として存在する興味ある知見を得た。 2. 前年度(22)は、Johnstonらの仮説に基づき、上記ヒドロキシ脂肪酸のケト体合成に着手した。しかしながら、ローヤルゼリーから得られたヒドロキシ脂肪酸はいずれも極めて微量であり、ケト体への合成原料には不足するため、まずヒドロキシ脂肪酸の増量を図った。 ローヤルゼリーより多量に得られる10-hydroxy-2-decenoic acidの4位にブロモ基を導入後、水酸基に置換することにより4, 10-dihydroxy-2-decenoic acidを得た。つぎに2-acetylcyclohexanoneより9-hydroxy-2-decenoicacidを合成した後、上記と同様の処理によって4, 9-dihydroxy-2-decenoicacidを得た。 3. 今年度(22)は、前年度に作製したヒドロキシ脂肪酸のケト体への変換を試みたが、ヒドロキシ脂肪酸が水酸基導入の困難さなどにより低収量であったこと、またアリル位酸化の際にMichael付加型の副反応が競合してしまうことなどから、目的物とするケト体は得られなかった。そこで、プロム基および水酸基の導入を介さず、アリル位メチレンを直接クロム酸で酸化する手法を検討したところ、4,9-dihydroxy-2-decenoic acidより、ケト体、4,9-dioxo-2-decenoicacidを得ることにはじめて成功した。 本反応は低収率のため反応条件の検討が必要であるが、他のケト体合成にも応用可能な有用な方法といえる。
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Research Products
(3 results)