2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯と温帯の湿原水域に及ぼす人為影響の比較による適切な環境管理の検討
Project/Area Number |
20510213
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
岩熊 敏夫 函館工業高等専門学校, 校長 (60124335)
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Keywords | 環境管理 / 湿原 / 湖沼 / 水位変動 / 水生生物 / 生物多様性 / 農地開発影響 |
Research Abstract |
泥炭湿地保全策の検討 2002年に中部カリマンタンパランカラヤ市北部に開通したカハヤン橋(カハヤン川の架橋)と、その後の市北東部の道路整備は、カハヤン川上・中流域の地域住民の従来のポート依存の交通手段と物流を大きく変え、また、住民の泥炭湿地との関わりも、大きく変化したと考えられた。そこで2011年8月にTehang湖、Sabuah湖、Lais湖、Rungan湖、Takapan湖、kahayan川に近傍の住民に、淡水と森林からの生態系サービスの享受状況、家庭の設備、生活水の供給源と利用方法、食料の調達法、日常の交通手段、カハヤン川の架橋と道路舗装がもたらした影響と森林・土地火災の影響について聞き取りを行った。 調査対象となった地域には水道は普及しておらず、住民の70~75%は生活用水に井戸水を利用し、他の住民は湖水や河川水を利用していた。住民は主要な食料は購入していたが、多くが漁業や農業に携わっていたため、住民の75%は魚を捕獲し、45%は野菜を収穫していた。住民の多くは日常の移動にオートバイを用い(80%)、次にボートを使用した(45%)。表流水を直接飲料水、水浴、洗濯に利用することは一般的でないが、その代わり、表流水を舟運手段と漁場として利用していた。カハヤン橋の建設と道路の舗装が大なり小なり生活に影響を及ぼしたと感じ、建設前に比べて交通と経済は良くなったと答えた。2007年の森林・土地火災では多くの住民が健康被害を被り消火活動に参加していた。住民は淡水生態系、森林生態系から様々な供給サービス、調節サービス、文化サービスを受けていることを認識していた。 調査対象者の30%は橋の建設後に移住してきたことから、湿地生態系への開発圧は高くなっていると考えられる。今後は漁獲圧がさらに高くなることが予想され、湖沼を漁場として管理する方策の検討が必要になる。
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