2010 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧種イシカワガエルの保全と遺伝的多様性に関する研究
Project/Area Number |
20510216
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
住田 正幸 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10163057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 敦 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00327701)
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Keywords | 絶滅危惧種 / イシカワガエル / 飼育下繁殖 / 遺伝的多様性 / マイクロサテライト / ミトコンドリアDNA / 交雑実験 / 新種 |
Research Abstract |
イシカワガエル(Odorrana ishikawae)は奄美大島と沖縄本島北部に分布するカエルで、鹿児島県と沖縄県で天然記念物に、環境省レッドリストでは絶滅危惧種IB類に指定されている。これまでの研究から、両島のイシカワガエルには形態・核型・生態的特徴に相違があることが示唆されている。本研究では絶滅が危惧されている本種について、飼育下での自然繁殖を試みるとともに、本種の種内分化の実態を解明するため、奄美産と沖縄産の成体を用いて形態計測、アロザイム分析、mtDNA解析及びマイクロサテライト解析を行うとともに、交雑実験により、両集団間の交配後隔離機構を調べた。2010年の繁殖期には、人工繁殖によって生まれた6年齢の人工繁殖個体から、完全飼育下での自然繁殖によって、多数の2代目を得ることに成功した。また、形態計測に基づく主成分分析の結果、奄美産と沖縄産とは形態的に明瞭な相違があること、アロザイム分析、mtDNA解析及びマイクロサテライト解析から、両集団は遺伝的にも明瞭に分化していることがわかった。さらに、交雑実験の結果、沖縄産雌と奄美産雄との雑種は発生初期ですべて致死になること、奄美産雌と沖縄産雄の雑種は正常に発育するが、成熟期に達した雑種の雄は精子形成が異常であることがわかった。以上、奄美産と沖縄産は遺伝的にも形態的にも明瞭に分化しており、生殖的にも明確な交配後隔離が成立していることから、両集団は別種とするのが妥当であると考えられる。イシカワガエルの基準産地は沖縄本島であることから、奄美産のイシカワガエルを「新種アマミイシカワガエルOdorrana splendida」として記載した。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Complete mitochondrial genomes and novel gene rearrangements in two dicroglossid frogs, Hoplobatrachus tigerinus and Euphlyctis hexadactylus, from Bangladesh2010
Author(s)
Alam, M.S., Kurabayashi, K., Hayashi, Y., Sano, N., Khan, M.M.R., Fujii, T., Sumida, M.
Organizer
日本遺伝学会第82回大会
Place of Presentation
札幌市
Year and Date
2010-09-21
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[Presentation] Species diversity and phylogenetic relationships among frogs from Bangladesh revealed by nucleotide sequences of mitochondrial 16S rRNA gene2010
Author(s)
Hasan, M., Islam, M.M., Khan, M.M.R., Alam, M.S., Igawa, T., Kuramoto, M., Sumida, M.
Organizer
日本遺伝学会第82回大会
Place of Presentation
札幌市
Year and Date
2010-09-21
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[Presentation] Mitochondrial genome of the endangered frog Odorrana ishikawae and unexpected diversity of mt genomic arrangements in the family Ranidae2010
Author(s)
Kurabayashi, A., N.Yoshikawa, N.Sato, Y.Hayashi, S.Oumi, T.Fujii, M.Sumida
Organizer
International Symposium on Biodiversity Sciences(ISBDS) 2010, "Genome, Evolution and Environment"
Place of Presentation
Nagoya, Japan
Year and Date
2010-08-01
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