2010 Fiscal Year Annual Research Report
里山における外来生物の侵入状況と在来昆虫へのリスク評価
Project/Area Number |
20510217
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石井 実 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80176148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広渡 俊哉 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20208896)
中山 祐一郎 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50322368)
平井 規央 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (70305655)
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Keywords | 里山林 / 外来生物 / 在来種への影響 / 植生管理 / ニホンイノシシ / ニホンジカ / 淀川ワンド / スクミリンゴガイ |
Research Abstract |
広義の里山への外来生物の侵入状況を近畿地方の里山林と河川周辺を中心に調査した。 里山林については、外来生物の侵入状況と植生管理との関係を明らかにするために、大阪府内の管理状況が明らかな6ヶ所の里山林を選定し、外来動植物のルートセンサス調査を行った。その結果、草本植物では14種の特定・要注意外来生物、および18種の帰化植物が記録され、これらの外来植物の種数と在来植物の種数の比(NA比)は利用者が多い里山林で大きな値を示し、とくに草地環境で高い傾向が認められた。また、外来種除去を含む林床植生管理を手作業で行っている里山林ではNA比が小さかった。外来動物については、ソウシチョウとタイワンリスが目視確認されたのみであったが、在来種であるニホンイノシシの掘り起こし痕が全調査地で、ニホンジカによる草本への採食痕が北部の調査地で認められた。これらの結果は、里山林の在来生態系は外来生物だけでなく、野生獣からもまもる必要があり、その際は人手によるきめ細やかな植生管理が有効であることを示している。 淀川河川敷では、中流域のワンド水域において水生外来動物の調査を実施した。その結果、水生昆虫28種を含む58種の水生動物が確認されたが、13種が特定・要注意外来生物を含む外来種であり、スクミリンゴガイが超優占するなど全個体数の82%を占めた。淀川のワンドでは、近年、イタセンパラなどのタナゴ類の衰退が顕著であるが、外来魚による捕食のほか、寄主となる二枚貝類の減少が危機要因として指摘されている。今回の調査結果もそれを裏付けるものであり、とくにスクミリンゴガイが重要な要因である可能性を示唆した。
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Research Products
(37 results)