2009 Fiscal Year Annual Research Report
半自然草原の人的管理とチョウ類の多様性様式の関係:希少種保全の最適管理手法の解明
Project/Area Number |
20510221
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Research Institution | Yamanashi Institute of Environmental Sciences |
Principal Investigator |
北原 正彦 Yamanashi Institute of Environmental Sciences, 自然環境・富士山火山研究部, 主幹研究員・部長 (70342962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 泰輔 山梨県環境科学研究所, 自然環境・富士山火山研究部, 研究員 (40372106)
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Keywords | 半自然草原 / 人的管理 / チョウ類多様性 / 絶滅危惧種 / 希少種保全 |
Research Abstract |
チョウ類:昨年度、同じような管理を施している調査地区において、チョウ類の群集指数がかなり変動し、それに周辺の植生の違いが関与していることが示唆されたので、本年度は同じような管理地でも、周辺植生の違う地区をいくつか設けて調査を実施した。結果は人的管理とチョウの種数の関係はこれまでと同様で、チョウ類の総種数は長期間の管理放棄地で少なく、管理放棄数年の地区が中程度で、管理を実施している地区で確認できたチョウの種数が多かった。一方、同じような管理をしている地区間にも種数の違いが存在し、両サイドを亜高木林で覆われている地区でチョウの種数が最も多かった。以上より、チョウの種数は人的管理の程度のみでなく、周辺植生の違いも大きく影響していることが分った。一方、チョウの総個体数は、周辺部の植生の違いより、管理の程度の違いに大きく影響されており、各調査地区の蜜源植物量の違いに関係していると推測された。 植生:昨年度は開花種数の空間分布について研究を行った。その結果、管理放棄の年数、周辺環境(近隣に森林があるかどうか)、優占種、群落高が開花種数に対して、主要な要因であることが明らかとなった。特に管理放棄後の年数では、毎年刈取りを行っている防火帯で最も開花種数が多かった。また、放棄直後に開花種数は減少するが、放棄後10年以上経過すると、開花種数が増加する傾向があった。この結果は、本研究で対象としている草地では樹木の侵入が起こらない場所ではススキが永続的に優占するのではなく、むしろトダシバとオオアブラススキが優占する傾向があり、このトダシバあるいはオオアブラススキ群落に多くの種が生育可能であったためと考えられた。このような例は数例のみ報告されており、長期放棄地におけるトダシバやオオアブラススキ群落の成立機構を解明することで、低コストの草地維持管理に重要な知見を提供すると思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
Kubo,M., Kobayashi,T., Kitahara,M., Hayashi,A.
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Journal Title
Chapter 6-Relationship of management practices to the species diversity of plants and butterflies in a semi-natural grassland, central Japan. In : Runs, J.and Dahlgren, T.(eds.)Grassland Biodiversity : Habitat Types, Ecological Processes and Environmental Impacts(Nova Science Publishers, New York)
Pages: 241-265
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