2009 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム復興を射程に入れた公共圏概念の研究:トルコの女性復興運動を事例として
Project/Area Number |
20510225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤江 史子 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (70436666)
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Keywords | 公共圏 / イスラーム復興 / トルコ / 女性 |
Research Abstract |
本研究は、関連先行研究における理論・概念の整理・分析と現地調査による実証分析という二方向からのアプローチをとる。本年度は、その双方について、一定の調査・分析を実施することができた。2週間の現地調査によって、イスラーム的な観点からジェンダー問題に取り組む女性NGOの活動家にインタビューを行い、スカーフ問題や彼女たちのNGO活動において公共的なるものがどのように関わっているのかを分析し、その論理の中で国家権力と宗教の規範拘束力がどのように意識され、利用され、あるいは批判や反発の対象とされているのかを研究した。 その成果として、活動家の女性たちが、ムスリム女性が公共的な活動主体でありうるイスラーム的論拠と、代替的なジェンダ規範をどのように論じているのかを分析し、"Islamic Women's Advocacy in Turkey : The Case of the Capital City Women's Platform"として国際ワークショップで報告した。また、トルコの宗教的なものをめぐる公共圏の条件や背景を研究するという側面で二つの成果を発表した。一つは、トルコの政教関係が多様性を包摂するイスラーム帝国期(オスマン帝国期)から単一性を強調・強制する現代の民族主義的国家期にどのように変化したのかを、中国やロシアという旧帝国との比較の中で明らかにしようとしたものである。具体的には、松里公孝北海道大学教授との共同発表として発表された"Rebuilding a Confessional State : Islamic Ecclesiology in Turkey, Russia, and China"でおる。もう一つは、グローバル化が従来は主権国家の範囲で考察されがちであった政治的なものについてどのように影響を及ぼしているのかを、特に移民という要素に注目し、イスラームに関わる公共的争点にも言及して論じた「移民をめぐるトランスナショナル政治と出身国-トルコを中心とした試論-」である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
澤江史子
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Journal Title
『国際移動の比較政治学』(日本比較政治学会編)(日本比較政治学会年報第11号)(ミネルヴァ書房)
Pages: 37-68
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