2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム国内での聞き取り調査によるベトナム戦争の記憶に関する研究
Project/Area Number |
20510226
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
今井 昭夫 Tokyo University of Foreign Studies, 外国語学部, 教授 (20203284)
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Keywords | ベトナム / 戦争 |
Research Abstract |
平成20年度においては、ベトナムでの聞き取り調査を2度実施した。第1回目は、中部のフエ市において、解放勢力側の退役軍人10人余りに聞き取り調査した。概して、当地での幹部クラスの退役軍人たちであったため、1人をのぞいて全員が共産党員で革命歴が長く、ランクも高い人が多かった。現在の生活もかれらは比較的恵まれていて、軍隊から土地と家を斡旋してもらい、高額の軍人恩給をもらっていた。また北との強いつながりをもっていた。フエでの聞き取りの中心的な話題は68年のテト攻勢をめぐってであるが、インタビューから、テト攻勢において解放勢力側も大きな損害を被ったことが確認できた。しかし、いわゆる解放勢力側のフエ虐殺については、うまく聞き出すことはできなかった。 第2回目は、同じく中部のクアンガイ省で実施した。クアンガイ省はソンミ村の虐殺事件で知られているように、アメリカ軍、韓国軍などによる虐殺が頻発したところで、激戦地の一つに挙げられる。ここでは、退役軍人と青年突撃隊隊員あわせて15人あまりにインタビューした。ここでの特徴はラオスなどに出征する人が多かったこと、虐殺事件の目撃者がいたことなどである。また、クアンガイ市にはベトミン時代に陸軍学校があったが、そこには何人かの残留日本兵が軍事教官として活動していた。その陸軍学校の生徒だったという人にもインタビューすることができたが、記憶があいまいで十分なことは聞きだすことができなかった。2回の聞き取り調査の録音のトランスクライブ化を年度末までに鋭意行い、終了することができた。今後はトランスクライブ化した資料を読み込み、論文にまとめていく。
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Research Products
(2 results)