2012 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム国内での聞き取り調査によるベトナム戦争の記憶に関する研究
Project/Area Number |
20510226
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
今井 昭夫 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20203284)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ベトナム / ベトナム戦争 / オーラル・ヒストリー / 戦争の記憶 |
Research Abstract |
本研究期間中にベトナム国内の11か所で聞き取り調査をすることができ、そのうち本科研の費用による聞き取り調査は9か所である。調査地は、2008年度の1.フエ(Hue)市、2.クアンガイ(Quang Ngai)省、2009年度の3.ターイグエン(Thai Nguyen)市、4.クアンビン(Quang Binh)省、2010年度の5.ハノイ(Ha Noi)市、6.クアンチ(Quang Tri)省、2011年度の7.ビンフオック(Binh Phuoc)省、8.ハノイ市、2012年度の9.チャーヴィン(Tra Vinh)省である。2012年度のチャーヴィン省は少数民族のクメール族が多数居住しており、これまでメコンデルタでの調査と少数民族の調査が比較的少なかった点を補う意味で有意義であった。 これらの調査から次のような点が明らかになった。1.ベトナム戦争中のいわゆる「解放勢力側」では、主力軍、地方軍、民兵、青年突撃隊、民工などの多様な人民動員が行われていたこと。2.多様な人民動員には待遇の違いが、戦時中そして戦後にも厳然として存在していたこと。3.民兵は無給であり、青年突撃隊・民工はごくわずかの給料で動員され、また人民は無償で労働力や家財を軍隊に提供しており、「ボランティア」戦争の面が色濃いこと。4.南北分断国家となっていたが、軍事境界線を越えたヒトの動きが結構活発であったこと。5.北部出身の兵士が南部に本格的に投入されるようになるのは1960年代後半以降で、メコンデルタには71・72年頃からであること。6.南ベトナム解放民族戦線は南部における戦闘主体ではなかったこと。7.少数民族の戦争参加度は温度差があるが、戦争はかれらにとって「国民化」の大きな契機となっていたこと。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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