2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム二輪車産業における部品取引関係と地場部品企業の成長
Project/Area Number |
20510243
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
藤田 麻衣 Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization, 地域研究センター, 研究員 (50450507)
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Keywords | ベトナム / 二輪車産業 / 部品取引関係 / 部品企業 / 能力 / 中国 |
Research Abstract |
ベトナム二輪車産業は、伝統的に日系二輪車企業の寡占市場であったが、2000年代初頭、中国製品が大量に流入する「中国ショック」を契機として、模倣車の生産を手がける地場組立企業が多数参入し、市場を巡る企業間競争を通じた成長のダイナミズムがもたらされた。本研究は、同産業における部品取引関係の変容および地場部品企業の能力構築のプロセスとメカニズムを解明することを目的としている。 平成20年度には2回の現地調査を行った。ベトナム地場部品企業約20社を対象とし、1990年代末以降、各社はどのような技術能力を構築してきたのか、能力構築のために必要な知識はどこからどのように獲得されたのかを把握すべく、各社1〜3回の詳細なインタビュー調査を実施した。 調査の主なファインディングは次のとおりである。(1)日系二輪車企業のサプライヤーには、生産にかかわる能力(機械・設備・金型などにかかわる能力および生産管理能力)の段階的な向上が考察されるいっぽう、製品企画(開発・設計)能力の向上はほとんどみられなかった。(2)ただし、日系二輸車企業のサプライヤーの間でも能力構築のパフォーマンスには差がみられた。(3)地場組立企業のサプライヤーは、基本機種の設計を模倣し、国内市場の低い品質要求水準を満たすにとどまっているものが多数であり、能力向上はおおむね限定的であった。しかし、独自の市場調査とマーケティング活動を行い、組立企業にかわって基本機種の設計に多様な変更・改善を施すなど、製品企画およびマーケティングの能力を向上させている例も一部でみられた。 以上の地場部品企業の能力構築のプロセスの特徴を踏まえ、二輪車企業の外注戦略(製品要求の提示方法、支援、モニタリングまでを含む)およびサプライヤー側の戦略の相互作用が能力構築のプロセスをどのように規定しているのか、さらなる調査と分析を進めることが今後の課題である。
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